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2月, 2022の投稿を表示しています

青い地球に教わったこと

マスクしてて気付きませんでしたが、花粉、飛び始めてますよね? さて。ごらんのガラス製地球儀のような物体ですが、晴雨予報ができるトイです。その名も、「遊んで学べる科学おもちゃ 晴雨予報グラス ジ・アース ウェザーリポーター」 。 原理は大気圧の変動によって、水位が上がったり下がったり。標準より上がると雨、下がると晴れ、ということです。ルーツはガリレオ・ガリレイの弟子が考えたとかなんとか。いただきものですが、子供の好奇心喚起および、インテリアグッズとしてお気に入りとなりました。 あらためて、自然科学の不思議さというか、面白さを感じていて、子供と同じ目線で(比喩ではなく、子供と同レベルの知識しかないので)世界をもう一度まなざすことができて、とてもありがたい体験だなぁと思っています。 お天気もそうですし、数学もそうですが、世界にはいろいろな神秘が満ちていて、僕のこれまでの人生ではそのほんの断片しか知ることがなかったですが、子供と暮らすことでもう一度学ぶ機会を自然発生的に得られているのが本当に嬉しい。歴史とかも同じか。 生きてる限り学びの時間ですね。よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

争いのない世界で乾杯したい。

  あんなに苦くて美味しくないと思ったビールが大好きになるんだから、人間て変わる生き物だ。 さて。ブルックリンラガーというビールが好きで、絶妙な苦味と、洒落たデザインの虜です。ニューヨークに旅行した時に飲んだのが最初だったと思います。で、2年前から毎月12本届く定期購入に至るわけです。 コロナのせいがあるのかどうかわかりませんが、ラインナップがずーっと4種類固定でつまらんと思っていましたが、この冬ついに限定フレーバーがー登場。ポストロードパンプキンと、イーストIPA。前者はスパイスとカボチャによって作られた複雑な味わいが特徴で、後者は、えーとIPAです。 やっぱりいろんな味わいが楽しめるのがクラフトビールのいいところなので、今後もいろんな限定ものは楽しみたいところ。少なくとも本国にはもっといろんな味があったはずなので。 一応来年の秋にはニューヨークに旅行するつもりでいるのですが、その願いは届くのかどうなのか。コロナもさることながら、世界情勢が気になります。みんなで平和な世界に乾杯できますように。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

こんな宿に泊まる旅がしたいよ

NYCマラソン2022の応募が始まりました。僕は2023の出走権持っています。 さて。メトロミニッツ ローカリズムの最新号が発行されました。特集は「まちやどステイケーション」。「まちやど」と呼ばれる、町そのものを宿として考える、町に開かれた、というよりも町の玄関と呼ぶべき宿泊施設が増えていて、そこを目指す旅の案内。   つまりは、その土地、町、日常がシームレスにある場所ということです。食べるもの、使うもの、訪れる人が、その町と地続きになっているから、泊まるだけで自然と町のリズムがしみ込むような感じでしょうか。旅行者でありながら、地域の仲間として受け入れてもらうような。通り過ぎただけでは知りえない深いところまで、すぐに連れて行ってもらえるような。 日本全国にこういう場所が増えていて、谷中のHAGISOとか、真鶴の真鶴出版あたりがそうですね。岡崎のANGLEとかもそう。誌面では、富山県南砺市のBed and Craftさんや氷見市のHOUSEHOLDさんなどが載っていました。とってもよさそう! 富山っていいんですよね~。 知らない町をのんびり歩いて、たらふく食べて飲んで、夜はぐっすり眠る。そんな旅がしたいですね。 29日には Kindle版もリリース されますので、よかったらご覧ください。バックナンバーも買えますよ。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

感想_追放された転生貴族、外れスキルで内政無双

ウクライナで起きていることが信じられません。断固として抗議したい。 さて。白石新『追放された転生貴族、外れスキルで内政無双』読了。ブラック企業に勤めていた苦労人のヒロは、不慮の死を遂げて転生。その善行が認められて様々なチート能力を授かるも、実の父親から追放される憂き目にあう。与えられた辺境の領地へと向かう道すがら、傷ついた猫耳の少女アメリアと出会って…。 スローライフ系の異世界もの文芸です。冒頭がなかなか愉快で、超まじめでお人好しなヒロの座右の銘は宮沢賢治の雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ、なんですが、そのフレーズになぞらえたスキル(水魔法、風魔法への耐性とか)を大量に付与されるくだりが楽しめました。ただのラッキーマンじゃないよ。 中盤以降はスロライものの王道を行く展開。仲間と出会い、助け、生姜焼きだの、から揚げだの、現代日本的な料理を堪能する、と。さらには眼鏡を作ったりもして、前世知識を存分に活用。盛り上がりには欠けるけど、安心して読めるともいう。全体として軽やかでテンポがいいのでサクサク読めます。 最後はアメリアがひとつ困難を乗り越えて、ヒロとの関係も進展して、というところで完。まだまだ内政無双の入り口にも立っていないというところなので、次巻に期待しましょう。とにもかくにも、平和が一番です。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

感想_チェンソーマン

2月は営業日少ない上、保育園の休園が何度かあって、なんやかやで追い込まれ気味です。そういう時もあるさ。 さて。藤本タツキ『チェンソーマン』1〜11巻読了。悪魔の蔓延る世界、デビルハンターのデンジはチェンソーの悪魔ポチタと契約し、チェンソーマンとなる。その身柄を公安に確保され、デンジたちは「銃の悪魔」を倒すために動き始めるが…。 「このマンガがすごい!2021オトコ編」第1位獲得の話題作をイッキ読み。と言いつつ、一息には読めませんでした。だってかなりぶっ飛んでるから!!! ひとことでいえばよくわかりません。悪魔の性質も、この世界も、バトルの中身も。どの悪魔も造形がフリークスすぎるしね。支配の悪魔の能力とか、全然よくわからなかったです。ちゃんと読み返せば理解できるのかな? でも、コピーのテンションが素敵で、バイオレンスの中のギャグとは違う逸脱感が心地いい。これはなかなか真似できない分、独特すぎてついていけない部分もあると言えばある。 『進撃の巨人』ぽいなぁと思いました。主人公がヴィランになっちゃう感じで、だけどその視点から正義を問うような。この作品は正義を問うような性格ではなかったけど、最後の方で「普通とは何か」「自分の意志も持たずに生きることが普通なのか」など、ちょっと哲学的な匂いも。でもそれも、テーマなのか、ただなんとなく言わせているのかはわからない。どちらかというと後者な気がするかな。安易に孤独とかマイノリティとか、そういうストーリーに仕立てなくて良かったのだと思う。 なんでもかんでも、わかった気になりたい症候群だからこそ、こういう理解不能系もそれはそれで良かったりするんですよね。なんだかわからないけど、デンジとチェンソーマンとポチタがかっこいい気がする、以上みたいな。タランティーノが映画にしたらすごく格好よさそうだ。『デスプルーフ』っぽいやつ(あれはタランティーノじゃないけど)。 ということで、怪作と呼ぶにふさわしいマンガでした。凄いけど、これが1位って不思議。よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

冬の祭典を終えて。

横浜銀行アイスアリーナがわりと近い僕です。今度行ってみたいな。 さて。北京オリンピックが閉幕しまして、多くを見たわけでわないのですが、簡単に振り返ります。 印象深いのは女子ボードスロープスタイルでNZの20歳、 ゾイ・サドフスキシノットの逆転金メダルのパフォーマンス。フィニッシュした瞬間他の選手が駆け寄ってゾイ押し倒してもみくちゃが胸熱でした。 スケボーの時もそうでしたけど、安易に横ノリの精神最高!と言いたくはないのですが(それ以外のアスリートへの敬意に欠ける気がして。勝利至上主義だって別に否定されるものじゃないし。ドーピングとかはダメだけど)、彼女たちの子供みたいなはしゃぎようはただただ美しかったです。 平野歩夢選手の力感なさすぎで当たり前に見えてしまう超絶プレイも、小林陵侑選手のラージヒル一本目の最長不倒も凄かったな。カーリングは戦略知識がなくて、ショットのチョイスがどうだったの考察出来なくてもどかしかったな。 冬の競技は、プレイした経験のあるものが限られるので、細胞単位で震えられないのが、夏との個人的な温度差だなと思いました。自分がやったことあるものは、アスリートの人外さがわかるから、いっそう楽しめる。パラリンピックも同様だなと思いました。 スポーツに限らないことですね。他人の靴を履いてみること。相互理解への道はそこだよなが、北京オリンピックからの僕の学びなのでした。 全部をやるのは無理でしょうけど、スキージャンプもカーリングもボッチャも車椅子バスケも、一度やってみたいものです。まずは、スキー場でひと滑りするぞ。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

こういうカフェは心地いい

ハイパーキャットの日、おめでとうございます。スーパームーンみたいでいいですね。 さて。馬喰町のほうに行ったついでに、気になっていたカフェに立ち寄りました。「PARLORS」さん。2021年10月にオープンしたばかりとのこと。 お昼過ぎに訪ねると店内は満席で、入口の外ならいけるとのこと。ストーブあるし、日差しもあるから(日陰だけど)、トライしてみてみたら・・・うん、大丈夫でした。ブランケットかけて、アウター着ておけば寒くなかったよ。 オーダーしたのは、フラットホワイトとシュガードーナツ。フラットホワイトがあるってことはオセアニア系ですよね?と思ったら、やはりNZ発のロースターによるプロデュースということでした(オズマガジン情報)。そして、ドーナツが軽くてめちゃくちゃ美味しいと思ったら、ご近所の名店ビーバーブレッドさんのパンを使っている模様(これもオズマガジン情報)。納得のおいしさ。 おいてあるビンテージ家具がいい感じのこなれ感で、シンプルだけど居心地がいいです。スタッフさんの距離感もちょうどいいし、広すぎず狭すぎな店内も素敵。シェアオフィスの1Fにあるということで、なるほどな抜け感でした。気取りすぎず、手を抜きすぎない塩梅て難しいですが、そのさじ加減が居心地のよさを左右しますよね。 で、お店の前で、ちょっと仕事の考えごとしてたらアイデアが降りてきたので、やっぱり外に出て気分を変えて刺激を受けるのって大事なんだよな、とひとりごちたのでした。おしまい。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

クラシックカーに魅せられて。

あっという間にオリンピックも終わりましたね。次はイタリア。その次、札幌に来るなら観に行きたいな〜。 さて。パシフィコ横浜で行われていたクラシックカーのイベント「Nostalgic 2 days」に行って来ました。古いフェアレディとか、セリカとか、ダットサントラックとか、国産車中心に100台以上並んだイベント。 古巣出版社が主催だったことと、子供たちが車好きなので、楽しめるかなと連れてきましたが、予想通り、見たことのないクルマばかりなので興奮していました。全然詳しくない僕も、新鮮な気持ちで楽しめました。 100年近く前の車も登場していて、なんかどれもカッコいいんですよねー。現代の車とはまったく違っていてとにかく新鮮。メカとしての性能は現代と比べようがないでしょうが、このデザインは負けてないと思うけれども。 そして、これだけの時間生きながらえてきたからには何人かのオーナーの手を渡り歩いてきたのかと想像するとなかなか感慨深いものがあります。きっとたくさんの人を乗せて、あちこち走ってきたでしょう。 客層は圧倒的に中高年男性が多く、旧車はいろいろお金もかかるでしょうから、若い人の趣味にはなりにくいとは思いますが、自動運転の時代が来てもひとつの楽しみとして生き続けるといいですね。 もちろん子供たちにはHot Wheels(ミニカー)のおみやげを。よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

東京マラソンは止まらない

ウクライナ情勢が気になる今日この頃。ひどいことになりませんように。 さて。この2年、マラソン大会の多くは中止になって、今シーズンもエントリーしていた10月の横浜、2月の湘南と中止になりました。先日大阪マラソンも直前の中止が決定、3/6予定の東京マラソンも中止は避けられないと思ってましたが、先日の協議で開催予定変わらずと発表されました。 開催条件として、全ランナー直前のPCR検査による陰性が義務付けられたようです。まさかできるとは思ってなかったのですが、開催されるからにはがんばりたいところ。都心での大規模大会、やっていいのか複雑なところではあるけど、マスクして走ろう。 ちなみに練習は、この4ヶ月で120kmしか走れておらず(月に100km走りたいのに)、不安しかありませんが、半分までは走れそうなのであとはどこまで粘れるかというところ。ハイタッチやおうえんが期待できない中でどこまで頑張れるのかとか、3年ぶりかつコロナ禍のレースがどんなものか、知ることに意味があるはず。 あと2週間、できる事は少ないけれど楽しみに待ちたいと思います。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

ヒノキの香りと潤いを。

  カーリング準決勝、ずいぶん遅い時間にやってましたね。決勝もガンバレ! さて。リンクの上の乾燥も気になりますが、我が家も例外なく乾燥しております。ということで、加湿アイテムのご紹介。こちらは、中川政七商店のひのきの加湿器。文字通り。見た目通りのアイテムです。コップは台湾のビアグラスね。 https://www.nakagawa-masashichi.jp/shop/g/g4547639617798/ 使い方はコップに水を入れて、ヒノキを入れるだけ。それだけで、ヒノキの香りがふんわりと漂います。説明書によると、ただコップに水を入れておくよりも7倍の湿気を放出してくれるそう。湿度計はそんなに目立った変化はなかったけど。 扱いが簡単で、電気も使わないしコンパクトだし、見た目にも優しいのでお部屋のいいアクセントになってます。心の潤いの意味合いが強いかもしれません。ちょっとしたギフトにもいいかも。 関東地方はなんとなく、冬の終わりも見え始めましたかね。依然、大雪のエリアもあるようなので複雑ですが。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

感想_ばにらさま

冬のバーゲンで何も買わなかったというか、買い物に行かなかったな。寂しい。 さて。山本文緒『ばにらさま』(2021年刊)読了。白くて冷たい恋人や、ヴァイオリンとポーランド人の過去、かつての同級生の遺言など、日常風景の小さな光と底冷えする闇を切り取る6つの物語。 山本文緒さんの小説は一時期片端から読んでまして、『恋愛中毒』や『落花流水』が大好きでした。本作もそのエッセンスは健在で、「わたしは大丈夫」はまさに『恋愛中毒』を彷彿させる一作。恋なんてしないと思っていたはずが、底なしの沼にはまる様子を、あっと言わせるプロットでまとめるの、さすがです。ほかの作品も、面白かった。 どの物語の主人公も、自意識と現実の間で揺れている感じが絶妙で、思うにまかせない現実にいつも振り回されるけど、そういうのは自分だけではないんだよなと気付かせてくれます。作中でSNSがよく登場しますが、その空虚な独白に行き場のない感情や、現代の居場所のなさと承認欲求が滲みますね。みんな、どうにかして自分を肯定したいんだ。 トリを飾る「子供おばさん」が僕にはいちばん刺さったというか、身につまされました。自分を子供のままだと思う50手前の女。僕も、自分は大人になれていないんじゃないかと思うことがあって、共感しました。歳をとっても、子供ができても、それでもまだ自分は大人と言えないような。これって何かが欠落しているのか、ただ見えていないだけなのか。 「よくやってるよ」って言い合えたらいいんですよね。忖度でも、傷の舐め合いでもなく、自然にさらっとお互いの健闘やらなんやらを讃えあえたら。今っぽい作品だなあと思いきや、すべて初出は2008〜2015年のものでした。 山本先生のご冥福を祈りつつ。よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

ROCOCO chocolatesと再会す

子供の誤操作(と思われる)によりAppleで映画購入していました。たまたま観たいやつだったからいいけど怖いな。。 さて。わりと甘いもの好きなのですが、嬉しいチョコレートをいただきました。その名はイギリス出身「ROCOCO chocolates」。以前ロンドンを旅行した時に、ガイドブック片手に鼻息荒く尋ねたことを思い出しました。パッケージがとてもかわいいし、味ももちろん美味しいし、現地のブティックは色とりどりのショコラが並んでとても興奮したことを覚えています。いまだに我が家には、現地で買ったものの箱があります(電池入れになっているけど・・・) 日本で定期的に買えるところはないようですが、催事への出店やオンラインストアでの販売があったようです。こんなふうに、食べ物であれ、物品であれ、かつての旅を思い出せるのは嬉しいことで、モノそのものや味というよりは、やっぱり記憶や体験を反芻して楽しんでいるのだよな。 人生の豊かさを作っているのは、こういう幸福感というか、愛すべき思い出だったりするよなと思います。くだらない会話とか、バカバカしい悪戯とか、失敗なんかも含めて、ふと唐突に思い出して気持ちが和むもの。そういうものを、小さくてもいいから、一個でも多くストックしたいと思って、僕は日々いろんな意味でのよりみちを繰り返しているのかもしれないと、深夜にチョコを放り込みながら思うのでした。美味いぜ。太るぜ。 なんにせよ、ROCOCOはおすすめです。よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

感想_無自覚な天才少女は気付かない

  将棋の藤井さんの活躍と謙虚さが本当に素敵ですよね。 さて。まきぶろ『無自覚な天才少女は気付かない』(2021年刊)読了。公爵家の3女として生まれたリリアーヌは、武芸、魔法、芸術とあらゆる才能に恵まれていた。しかし家族たちはリリアーヌがどんな才能を発揮しても、揃いも揃って厳しい態度をとり続ける。一度も褒められたことがないまま耐えてきたリリアーヌだったがついに限界が来て、出奔。冒険者として旅を始めるが、その自己評価の低さとは裏腹に、何をやらせても常軌を逸する能力を発揮し、周囲を驚かせるのだった。はたして彼女の旅はどこへ向かうのか⁉ いわゆる「無自覚チート」ものですが、ここまでありとあらゆる才能に恵まれたパターンてあるんですかねー! 剣や魔法のバトルのみならず、錬金術に歌に絵に小説に芝居と、ここまで多芸多才、しかもそのどれもが超一流とくると清々しい! 無自覚であり自己肯定感が限りなく低い理由も、家族のこじらせたヤンデレな愛情というディテールを、結構文字数かけてやっているので説得力があって面白かったです。 気づけばリリアーヌが素直すぎるがゆえに好感が持て、そしてこんな風に追い詰めた家族を普通に憎たらしく思ってしまったのが、設定がしっかりしている証拠だと思います。旅の連れ合いになるフレドさんが優しくしてくれる理由にも納得できるし。 努力が報われない、正当な評価を受けられないって、ままある事象なので、そういう経験を持つ人は、彼女の健気な頑張りは応援したくなる気がします。前半がボリュームありすぎて、話があまり進まず、後半もこれというほどの見せ場がなかったのはちと残念でしたが、2巻への布石ってことですかね。続刊での特大に無自覚な活躍を期待しましょう。 異世界モノってニッチなジャンルだとは思いますが、いい作品もあるんですよねー。お気に入りを見つけられるのは、嬉しいものです。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

未来は僕らの手の中

  なにやら人間ドックの再検査がなんとなく大ごとになりつつある今日この頃。無事を願っておりますが。 さて。雑誌WIREDの「THE WORLD IN 2022 未来へ漕ぎ出すための必携キーワード」を読みました。テクノロジー、サイエンス、健康、環境、交通、政治、ビジネス、カルチャー、セキュリティ、ギアの10のカテゴリで今年を占った一冊。さまざまな有識者が2022年の注目キーワードを列挙していて面白いです。 詳しくは誌面を見てもらうとして、印象に残ったのは大きくふたつ。世の中のほとんどはテクノロジーが占めているということと、その中で脱炭素の流れは不可避というか確定事項であるということでした。 まず前者を見ると、10のカテゴリのほとんどにテクノロジーの話が入ってくるというか、それなしには何も話が進みません。健康もバイオテックが関係しているし、カルチャーもNFTがからんでくるし。もちろんAIも外せません。これは良いも悪いもなく、そういう時代だということですね。 それから後者について、EVだったり水素燃料の実用化だったりESG投資だったり、気候変動に関する話題が新聞などに出てこない日はありませんが、脱炭素は一過性のトレンドではなく、ワールドスタンダードなんだということがよくわかりました。ビル・ゲイツが寄稿していますが、彼のいう通り今年はこの流れが加速し、定着する1年になりそうです。脱炭素って本当にできるのかな?ではなく、実現に向かってすでに大きく進んでいるし、後戻りはないと考えないと置いていかれそうですね。 SNSをはじめアルゴリズムの働くネット情報はどうしても自分の趣味(娯楽的なものや、既存の人間関係)に偏っていくので、新聞や雑誌の客観情報は大切だと感じています。乱暴に言うと、SNSは圧倒的に「今この瞬間」ですが、新聞を読んでると「今を通して覗く未来の輪郭」が多少なりとも見えるような気がしています。この特集も然り。 それがなんの役に立つのかと言われたらわかりませんが、世の動きをキャッチアップしておかないと、あっという間に置いてけぼりになりそうな気がしているのでした。未来がわからないから投資もギャンブルもある、と言った人がいるそうで。そのわからなさを楽しみつつ、その宇宙へと漕ぎ出す助けとなりうる一冊でした。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、良い1日を。

スケート・リンク・ホリデイ

フィギュアスケートもスピードスケートも、見逃した僕です。不覚。 さて。横浜赤レンガ倉庫、冬の風物詩のアートリンクに行ってきました。今年もアーティストをフィーチャーして外囲いがデコレートされてました。 大津萌乃さんとunpisさんのお二人だそうで、 ポップでハッピー。この日は気温も高くリンクの一部は水たまり状態。 空いてるかな?と思いましたが、天気が良かったこともあってか混んでました。というか、オリンピック効果かもしれないな。うん、その影響は大きい気がする。 去年もここで滑りましたが、その前はいったいいつだったろう? エストニア旅行で見かけたリンクでちょびっと滑ったような記憶があるけど、あとは小学生くらいまで遡るような。でも、最低限レベルには滑れるんだよな。止まり方忘れてるけど。いつ修得したのかけっこう謎。 この日は長男君の付き添いメインだったので(去年よりずいぶん滑れてた!)、今自分がどのくらい滑れるのか一度しっかり試してみたいのでした。ウインタースポーツは、やる頻度がどうしても限られるけど、だからこその非日常感もあって楽しいですよね。 なお、リンクの隣ではこちらも恒例ストロベリーフェスティバルやってました。関係ないけどウィル・フェレルの爆笑B級フィギュア映画があったっけ。 あとはスノボー行ければ今年の冬は完成かな〜。よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

オズマガジン2022年3月号「東京小さな店めぐり」②

  スキージャンプ小林陵侑選手惜しかったですねーーー! 1本目の跳躍凄かったです。跳躍というより飛翔。 さて。昨日に続いてオズマガジン最新号のご紹介。第二特集は「代々木上原」です。新宿、原宿から近くて、落ち着いた住宅街ながらセンスのいいお店が集う街。特にこの10年くらいは続々とカリスマ飲食店ができている印象。 誌面に書いてありますが、人の流れに変化が生まれたのは5〜6年前からだそうで、それは「奥渋谷」というエリア呼称が誕生した頃だそう。つまりは渋谷の奥、東急本店の先、松濤あたりから代々木八幡にかけてが賑わい出したことで、それまでは離れ小島というか独立国家的だった代々木上原が、渋谷〜奥渋谷〜代々木八幡〜代々木上原という散歩道に、線でつながった瞬間。 パッと思い浮かべるだけでハリッツ(ドーナツ)でしょ、アスタリスク(パティスリー)でしょ、カタネベーカリー(パン)でしょ、sio(フレンチ)でしょ、按田餃子(餃子)でしょ、と名店の数々が思い浮かび、それ以上に僕など外様ではカバーしきれない名店が数多あるのでしょう。PATHとか365日とかlittle nap coffee standとかもこのエリアか。 センスが無茶苦茶いいのに、住宅地ゆえの落ち着きがあって、だからこそ地に足のついた印象が強いんですよね。清澄白河なんかにも同じことを感じて、生活と地続きなんです。だから、お客さんが老若男女で家族連れもひとり客も共存していて、そういうところが親しみやすさとなってまた人を呼ぶという好循環を生んでいる気がします。 こうしてみると、2011年で価値観が大きく変わり、大資本から個人へと、お店というもののパラダイムシフトが起こった10年だったように思います。そしてそれを体現している代表格が、代々木上原という街なんでしょう。 って、住人でもないくせに偉そうに語ってしまいましたが、僕が四の五の言うまでもなくナイスな街だと思いますので、ぜひ誌面チェックがてら散歩に繰り出してみてください。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

オズマガジン2022年3月号「東京小さな店めぐり」①

平野歩夢の逆転のラスト一本が録画出来てませんでした。サブチャンネルてなんだ…。 さて。今日はオズマガジンの発売日。特集は「東京小さな店めぐり」です。小さな店とは、大雑把に言えば個人経営のお店。物理的な大きさもそうですが、オーナーの意向が色濃く反映されているかどうか、その密度や濃度が高いお店といった方が正確だと思います。でもま、小さい店、くらいの方がイメージしやすいでしょうか。 そんな素敵なお店たちを、大きく3つのエリアで区切って紹介しています。1番手、馬喰町〜浅草橋。2番手、世田谷沿線。3番手、明治神宮前周辺。同じ都心でも、街のカルチャーが違うのでお店のカラーも少しずつ違う雰囲気を感じますね。馬喰町には下町っぽいのどかさがあるし、世田谷線は住宅地なので生活の色が(でもそこは世田谷なので東東京のそれとはちょっと違う)。そして原宿表参道は当然、洗練されています。 お店の数だけスタイルというものがあって、チェーンストアには雑多さや埋没できるよ居心地の良さがあると思うし、この特集に出てくるようなお店は細部にまでこだわりが感じられるので、そういうのが好きな人には合うと思います。 朗らかに出迎えてくれるお店も、とことん放っておいてくれるお店もある。そういうのを、気分に合わせて使い分けられると、東京マスター。一人になりたい時。誰かと話したい時。誰にも見つかりたくない時。かといって家でぼーっとしているのは嫌な時。おしゃれしていきたい時。なるべく適当な格好でいたい時。などなど。 個人的な感覚ですが、2011年を境にして、個人のお店はとても増えたように感じています。いろんな人が生き方を見直して、豊かさの意味について考えて、時代の変化もあっての、今だなあと思ったりします。町は世界の鏡であり、小さなお店はそんな世界を形作るものとして、そこにあります。 東京は、コロナ禍でたくさんのお店が閉まりましたが、それに劣らず新しいお店が開店しました(肌感覚なのだ正確なデータはわかりません)。お店という場が、今の僕たちに必要ということなんだと思います。そんなシーンも感じられるような気がする一冊でした。 それから「最新TOKYO BAR GUIDE」のページもありました。厳選の6軒紹介。これもまた、小き良きお店です。いやーたくさんお店巡りしたいですね、本当に。とりあえず自分の生活圏に近いところに足を運んで

横浜ローカルをぶらぶらしただけの話

カーリングってどんな感じが一度やってみたい僕です。ボーリングは得意。 さて。横浜に暮らす僕ですが、一般的には横浜でイメージするのは、みなとみらいエリアかと思います。実際僕も何かと出かけるのはその辺り。ですが、横浜はとにかく広いんですよね。畑もあるし、住宅地もあるし、もちろん港もあるしといろいろで、行ったことないところばかりです。 で、その日は横浜駅〜バス〜保土ヶ谷駅〜横須賀線〜戸塚駅〜市営地下鉄〜上大岡駅〜京急〜杉田駅〜徒歩〜新杉田駅〜京浜東北線〜関内駅〜徒歩〜桜木町駅〜京浜東北線〜横浜駅と、巡ったのですが、楽しかったです。 上大岡の駅を降りたのは初めてで、少しだけぶらりとしました。駅前のアバロンコーヒーでパンランチしたり、駅近の裏通りにいい感じのビストロを見つけたり。下調べもしていないですし、特別な何かがあったわけでもないですが、やっぱり町歩きはいいものです。得るものは、ふうん、この街にはこんな景色があるんだな、という体験。だけ。 杉田駅から新杉田駅までをつないでいた商店街も良かったですね。1kmもないくらいで、こちらもめぼしい何かがあるわけではありません。マンボウで休んでいるお店も多いですし。でも、何となくの生活臭がする空間というのは、何とも言えない落ち着きというか居心地良さがあるなぁと思うのでした。冬の午後の光もいい感じで暖かかったし。 最後はみなとみらいの新しい横浜市役所の入っているビルにある丸善さんのブックカフェ「ハマル」へ(いいネーミング)。これはこれで居心地が良かったです。 この前ポストした「 移動の話 」じゃないですけど、あてもなくぶらつく散歩が好きなもので。びっしょり汗もかけば、冷たい北風に首をすくめることがあってでも、自分の足を動かしていたい派ですね。道行く人や雑音も、また風景。歩くのが好きで、行ったことのない町が好きで、通ったことのない道が好き。なるべく多くの町と出会ってちょっぴり好きになれたらいいなと、思います。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

長男6歳2ヶ月、次男1歳7ヶ月

『ドライブ・マイ・カー』やりましたね〜。監督賞ノミネートも快挙! さて。月に一度の子育て日記。完全に自分のための備忘録ですみません。 ●長男 いよいよ保育園も残り2ヶ月で、小学生が視野に入ってきました。スパイダーマンが好きで、シャイだけど、ひょうきんな一面も見せてくれます。ブラックホールの話になった時に、ゴミを全部ブラックホールに吸わせたらいい!という画期的なアイデアを出していました。それから、自分の自転車で3〜4kmほどのお出かけをするように(親が先導)。知りませんでしたが、小学生は自転車のチャイルドシートに乗せてはいけないそうですね。 成長を感じる一方で、幼さも当然まだまだ残っていて、カタカナの書き順が分からなくて号泣したり、朝の支度はいつまでも超スローペースでやきもきさせられたり。おだてたり、なだめすかしたり、厳しくしたり、こちらも何が最適か分からなくて困っております。どーんと構えたいところですが、現実問題遅刻は困っちゃうからな。。 時々「急に周りのものが小さく見えることがある」と言うことがあって、何のことだろう?と思ったのですが、「 不思議の国のアリス症候群 (wikipedia)」というのがあるそうです。ちょっと怖いけど、様子を見ながら、こういう症状があるということは憶えておかねば。ちなみに川崎病もやっているので、何となく心配。 ●次男 奇声から少しずつ言語を形成し始めました。わんわん、にゃんにゃん、ブーブー、ポッポあたりを使いこなし、ゴーとかも。あと、こちらの言葉の一部をリピートしているような時も。もう少しで単語が飛び出すのかな? 楽しみです。なお長男がいつ何を喋ったかは全然憶えていません。 「はたらくクルマ」の歌のみならず、BTSでも軽く踊ってくれるようになりました。それから、いないいないばあを自らやるのですが、「ばあ」で片手オープン、もう一回「ばあ」で髪をかきあげるという謎のイケメン仕草も繰り出すように(どこでおぼえたんだ)。あとはウンチした時は何かしらのサインを出し始めたので、トイレトレーニングも近いのかも。みたいな話を保育園の先生にしたら、男性がその手の話をすることは珍しいようで驚かれました。たまたまです。 一歳半検診は特に問題なく。と思ったら、歯がこのままだと虫歯になる可能性大というお知らせが。慌てて寝る前の歯磨きを頑張りますが、どうしてもイヤ

スリー・グッド・シングスの魔法

つくづくオリンピックには魔物がいるなぁと思いますし、その舞台で実力を発揮する人を心からリスペクトしますわ。 さて。「スリー・グッド・シングス」というメソッドがあります。寝る前に、その日よかったことを3つあげる(書き出す)というもので、アメリカでの研究では、これをすることで自己肯定感が高まり、抑うつ度が低下するという結果が出たのだそう。 僕はこれを実践しているわけではないのですが、漠然と腑に落ちる感じはあります。そして、こういう小さな幸せを大事にすることが、生きやすさにつながるという考え方に共感しています。本当にちょっとしたことでよくて、今日の僕で言えば、「仕事で優しい人に出会えた」「子供を早く寝かしつけられた」「初めての駅に降りたら何となく面白かった」というところでしょうか。 こういうのって誰に言うことでもないですし、誰かと比べるものでもなくて、自分に問いかけて自分で答えを見つけるというのが、大事なんだと思います。あと、1日を5分だけでも振り返ること。忙しさにかまけていると、本当にあらゆるものが光の速さで通り過ぎて行ってしまうので(光陰矢の如しってうまいこと言いますよね)、せっかくの小さな幸せをなかったことにしないためにも必要なんでしょう。書き留めておけば、あとから振り返れるのもいいところ。 子供に「今日のよかったこと」を聞いてあげるのもいいことらしいので、ちょっと試してみたいと思います。うん、あらためて「スリー・グッド・シングス」のことを思えたのも、今日のいいことだったな。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

感想_スパイダーマン:ホームカミング

ドクター・ストレンジも、ブラックパンサーも未見な僕です。観たいぜ。 さて。『スパイダーマン:ホームカミング』(2017年公開)鑑賞。アベンジャーズに参加して有頂天のスパイダーマンことピーターだったが、トニー・スタークはアベンジャーズへの加入は認めず、大人しくしているよう釘を刺す。しかし彼らに認められたいスパイダーマンは、超常的な武器を扱う集団を見つけ、一人で彼らを罰しようと動き出す。彼らはアベンジャーズの戦いの残骸を利用して武器の密造販売を行っていた。 映画『スパイダーマン:ホームカミング』 | オフィシャルサイト| ブルーレイ&DVD&ULTRA HD発売 新作を劇場に観に行きたいけどまずはシリーズ一作目から観ないとね! トム・ホランドによって再びリブートされたスパイダーマン。今までで一番役にはまっている気がしたよ。純粋で、お調子者で、でも頑張りやで。 何と言ってもスパイダームーブの華麗なる超絶映像を堪能。作品内で徐々にスケールアップするアクションは毎度楽しくて、しかし郊外だといまいち威力を発揮できないスパイダーマンてのは良かったですね。からのワシントンDCでは尋常じゃない高さを、真っ二つに割れるフェリーでは海の上を、そしてクライマックスでは空の上と、フィールドを変えながら極限状態でのウェブシュートを楽しませてくれました。 ヴィラン役はバードマンことマイケル・キートンで、まさかの翼男(パルチャー)とはシャレが効いてる〜! 特殊兵器でのバトルだったので、マーベルの中ではやや地味な部類だったかもしれないけど、その分ドラマがありました。すなわち格差問題。パルチャーはある意味で被害者だったわけで、それを知ったスパイダーマンが、NYにとどまることを選んだのは重みがありました。 と言いつつ、次回作の舞台はロンドン×スパイダーマンとか楽しみすぐる! なんとかしてノーウェイホームが劇場公開しているうちに観て臨みたいと心に誓うのでした。そうそう、ゼンデイヤの出番は少なかったけどたいそう魅力的でしたね。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

感想_ブラックボックス

モーグル男子燃えたし、スノーボード女子スロープスタイルの逆転劇もシビれた。雪山熱あがります。 さて。砂川文次『ブラックボックス』(2022年刊)読了。佐久間は今日も東京を走り抜ける。得体の知れない恐怖を遠ざけるため、余計な思考を消し去るため。衝動的な怒りを抑えられず、不用意に問題を起こしては職を転々としてきた佐久間だったが、メッセンジャーという仕事は性に合っていた。あの日までは。 先日発表された第166回芥川賞受賞作、面白かったです。まず、自転車好きとして、導入の疾走〜転倒までの緊張感ある描写が心地よかったです。自転車のメカニカルなことはわからないけど、都心を疾走する感覚や車や歩行者との兼ね合いにシンパシー。 さてさて、本作の大きなテーマはタイトル通りのブラックボックスなのでしょう。人の心や過去が、いったいどうなっているのかは誰にもわからない。あるいは、自分の属さないコミュニティのことは想像もできない。姿形は見えるのに、そこに誰がいて、何をしているのかが見えない世界と、社会を、切り出したように感じました。どちらかというと後者ですかね。 すなわち、分断の時代と言われる今を捉えていると言えそうです。佐久間のような生活のディテールを僕は知りません。そんなのはお互い様で当たり前っちゃ当たり前だけど、おそらく昔よりも見えにくくなり、複雑になり、それらに対するネガティブな感情の澱が社会全体で増えているのかもしれません。実際がどうかはわからないけど、多分そうなんじゃないかと思わせるだけの空気が世の中にあり、そしてこの一冊の小説の中にもあった。シニカルな不協和音。 ひたすら佐久間の中で蠢く独白のように物語が進み、中盤で大きな転換を経つつも重い通低音は変わらず。だけど、ラストは小さな希望が描かれます。最後まで不協和音が流れると思っていたので、ちょっと意外な展開。佐久間がそれでもまた怒りの暴走に翻弄されるのか、次はどこか違う場所にたどりつけるのか、それは読者に委ねられました。 ブラックボックスはすべてを飲み込むブラックホールではなくて、自分にも起こりうる可能性の世界であり、あくまで先の見えない未来である。そう捉えれば、違う景色を見るためにそのドアの中へと歩を進めるのか、それともただ立ちすくみ、背を向けるのか。佐久間と、僕たちは、問われているのかも知れません。 自転車は孤独や、生身の体や

書くを楽しく。カキモリさんのオリジナルプロダクト。

  オリンピックの開会式、カナダのユニフォームがめちゃカッコよかったな〜。 さて。蔵前の文具店、カキモリさんによるオリジナルのインクとペンを購入しました(家族が)。これがすごくいい感じでしたのでご紹介しますね。 まずインクはこのボトルデザインが秀逸。ぽってりした愛らしい形に、ちょうどいい重量とサイズで安定感があります。きれいな赤(朱に近いかな)がいいですね。色の名前は「ぽ」。このネーミングセンスも素敵。デザインは小泉誠さん。 ペンはスポンジでインクを染み込ませてつかうタイプ。軽くてシンプルでこれもまたいい感じ。実際に書いてみると、やさしいピンクっぽい印象でした。一般的にはあまりない色合いですね。すごくいいなー、これ。ほかの色やペンも揃えたくなる。 書く機会が少しずつ減り、それに伴って書くことが少しずつ特別なことになり、そんな世の変化をとらえたカキモリさんらしいアイテム。長く使っていつか古道具になるように。そんな思いが込められているそう。 自分のために、誰かのために。字ってユニークなもの。書くという行為そのものも悪くないですし、何を書くのか考えるのもまた、よりみち的でいいんですよね。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。