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科学で哲学なオラファー展へ

麻布台ヒルズがオープンしたということで行ってきました。神谷町と六本木の間くらいというなかなか行きづらい場所ですね。 お目当ては、麻布台ヒルズギャラリーでやっていたオラファー・エリアソンの展示です。ヒルズの館内にも彼の恒久作品があって、そのつながりでのこけら落としなんでしょうね。 コンパクトな展示ながら十分に心をつかむ内容でした。赤い球体が光を放ちながら回転する作品、ホースから撒き散らされる水の軌跡を暗闇の中で照らす作品、などなど宇宙的?な物理運動を取り入れながら作られているのが特徴的。 乱反射する光を見ながら、モノの見方は角度で変わるよなということを思ったり、伸び縮みする影にいろんなものの因果や影響もまた光の強さや角度で変わるんだよなと思ったり、科学的なのに自然摂理のようなものを感じさせてくれるんですよね。自然と科学はひとつってことだ。一見、不規則に見えるもの。まったくの偶発的なもの。それらも宇宙視点で見ると定められた法則のようにも思えてくる神秘。神の手のような。 だからか、ずっと見てられるんですよね。機械的なのに無機質には思えない。制御されたランダム、ってそれはランダムなのか? みたいな。 光と闇、音と運動、なんだかそこにいると滝行でもしているような(したことないけど)マインドフルネスを感じるのでした。何言っているのかわかりませんが。展示ラストのインタビュー映像もよかったです。 館内の天井にある彫刻作品は、ゴミの燃焼から生まれる亜鉛を再利用しているそうで、環境への意識も。鈍色の多面体は硬質だけど有機的な曲線を描いていて、これもまたコスモを感じるのでした。さすがワールドクラスのアーティスト。たっぷり堪能できました。 麻布台ヒルズギャラリー開館記念「オラファー・エリアソン展 相互に繋がりあう瞬間が協和する周期」24/3/31まで。よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

見える、観る、魅せる。

アーティゾン美術館の『ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここにきてやむに止まれぬサンサシオン』観てきました。これは見て良かった! コレクションと美術館がコラボするこの企画、アーティストの編集・キュレーション視点が見れてとても楽しいです。今回は山口さんの思想や技巧がたっぷり感じられて良かった。彼がコレクションの中きらフォーカスしたのは、セザンヌと雪舟で、それらへのオマージュ作品や解説と、既存作品が展開されてました。 最初、全てが斜めに傾いた部屋に入るのですが、いきなり三半規管が歪められてなんなら少し気分が悪くなる(そういうひと向けの注釈もある)。あれは、物事の見方を変えよならメッセージだったのかな。 感銘を受けたのがセザンヌ作品の解説で、その絵画の技法を事細かに紐解いていて、そこまで読み取れるのかと驚き。セザンヌがどんな風に絵を描き、そこにどんな想いを載せていたのかを、想像も含まれるとはいえ精緻に読み解いている。全ての絵描きがそうなのかわからないけど、「見える」ことも「見る」ことも「見せる」ことも、とことん突き詰めている。精神や哲学の領域まで。そのことにとにかく感じ入りました。これぞプロフェッショナル、エキスパート、スペシャリストやで。説得力が半端じゃない。観る、視る、診る、見る、同じ「みる」にも色々あるね。 入り口に本展はスケッチOKとあり、山口さんよりスケッチの勧めの一文もありました。すなわち、書き写すことでよく見るし、よく見ると見えてくるよと。ああ、最初の斜めの部屋もそうですが、視覚体験を問い直し、見つめ直すための舞台だっだんだなここは。表層の情報に泳がされる現代人へのアンチテーゼ。見ているつもりを疑え。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

宇宙遊泳的インシデント

夏休みで美術館もいつもより賑わってますねー。東京駅もすごい人です。 さて。国立新美術館で開催中の「蔡國強 宇宙遊ー<原初火球>から始まる」鑑賞。中国出身の蔡國強さんの個展です。昨日のアーティゾン美術館に続いてこちらも、とっても良かったです!! 会期8/21までとあと少しですがぜひもの。 展示室に入ってびっくり、全部ぶち抜きでどかんどかん作品が並んでいたのですが、その半分近くを占めている<<未知との遭遇>>がすごい! さながらテーマパークのごときインスタレーションで、ワイヤーみたいなフレームで作られた観覧車とかメリーゴーラウンドみたいなのが旋回しています。よく見ると宇宙モチーフで、エイリアンのようなものや月などの造形。LEDがいろんなパターンで光るフォトジェニックさ。素敵。 展示全体が時系列に沿って、蔡國強の歩みをたどります。代名詞的な火薬を作った絵画やプロジェクトがいかにして生まれ変遷していったかがわかって大変興味深かったです。火薬という中国的モチーフでルーツを強烈に意識しながらも、美術界の東西の分断を文字通り爆破してしまうそのインパクト! そしてそこに込められていたのは宇宙からの視点という超ロングスパンかつメタな態度でした。 今ってとかく近視眼的だから、そのスケール感にほとほと感じ入ってしまったのですね。合理性とか生産性とか、宇宙の瞬きの中ではあまりにも小さな話。あの星から届く光は200年前のものなのにあなたたちは何言っちゃってるの?みたいな感覚になりました。 あらためて火薬ドローイングってどう描いてるんだ?って思いましたが、本当に火薬で絵を描いて、火をつけて爆破していましたw その制作ドキュメント映像を見ていて、一瞬の閃光とその後に訪れる闇の対比が興味深く、それは命の儚さともつながっているように思います。星の明滅にも接続しているのかも。姿形は消え去るけど残る火薬の匂いと網膜の記憶。という美しさ。 そういえば北京オリンピックの開会式もこのひとの仕事だったなとか、8年前の横浜美術館での個展のこととかも思い出しつつ、要の東西を超えた宇宙と真理を感じさせる展示なのでした。30年前の作品と、近年の作品が違和感なく共存していたのもすごいし、でもその我々からしたら十分に長い時間も、宇宙スケールで見ちゃうと一瞬なんだよね。光すら届かぬほどの寸

抽象絵画スペクタクル

書きたいことはいろいろあるのですが、書く時間がうまく取れなくてすみません。 でも。これはどうしても書き残したい! アーティゾン美術館で開催中の「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ」鑑賞しました。 軽い気持ちで観に行ったのですが、とてもよかったです。何がよかったかというと、最後の「現代の作家たち」のセクションで、文字通り現代作家の抽象画が並んでいるのですがとても好みで最高だったのです。特に感動したのが鍵岡リグレ アンヌさんの作品↓ 「Reflection」というシリーズの2点でしたが、流る水を思わせる色使い、世界地図のようにも見えた奥行きというか広がりの視覚的インパクトもさることながら、これジオラマのように隆起している立体的な作品なのです。解説によるとグラフィートという古典的な壁画の技法に布のコラージュが加わっているそう。初めて、心の底から、この作品が欲しいって思いました。いくらするかわからないけど何とかして手に入れたい。作品集もあればほしい(検索したところ見つからなかった)。 そのほかにも、リタ・アッカーマン、津上みゆき、高畠依子、横澤美由紀といった面々の作品もインパクト抜群でした。めちゃくちゃワクワクした。 展示全体でいうと、抽象画前夜のセザンヌやゴーガンに始まり、マティスにピカソにジョルジュ・ブラックのキュビスム、そしてカンディンスキーやパウル・クレーといった始祖の作品が連なります。やがてその中心はアメリカに移り、ジャクソン・ポロックやクーニング夫妻、マーク・ロスコなども並ぶオールスター的なラインナップで見応えありました。 あらためて抽象画、パッと見からは何を描いているのかわかりません。印象派たちが自らの感性のまま風景をとらえたのち、作家たちは自らの内面に目を向けそれをアウトプットしたのが抽象画だとするなら、それはすなわち心象風景であり前後の文脈や作家の言葉を参照せずに、わかるはずはない。 だから、わかろうとしなくてもいいんですよね。僕なんかはもう見た感じが好きか嫌いかでしかないし、それが何を描いているのか想像したところで正解なんてもはやないわけで。そしてそれこそが醍醐味だなと再確認しました。強い原色、荒ぶる筆致、あるいは薄暗い世界、不思議な幾何学模様。なんだか答えのない今の時代にぴったりとも言えるかもし

暗闇と信号が問いかける。

レッドソックス吉田選手の無双が凄すぎる。どこまで行くのか!? さて。アーティゾン美術館で開催中の「ダムタイプ|2022:remap」を鑑賞。去年の第59回ヴェネチア・ビエンナーレの日本館展示に選出されたインスタレーションを、再構成したもの。石橋財団がビエンナーレの日本館建設に深く関わっていることで、帰国展を開催しているそうです。 前情報なく臨みましたが、展示室は照明が最小限の真っ暗な空間に、何かノイズ的サウンドが流れています。会場中心部にメインの展示があるようで人が集まっている。そして周辺には光るクールなレターンテーブルが。音はここから聞こえてくるようです。この音は、世界中の都市で収集されたものだそうで、北京、ケープタウン、チェンマイ、ロンドンなどなど全16都市がその位置関係にあわせて配置されていました。 中心部の展示は、ある映像が床の鏡に映し出されるもの。覗き込むとそれは等高線の描かれた地図のようなものが流れ続けます。キャプションがないので、これはなんだろう?の答えはありません。自分で考え、想像するしかない。地図に見えるけど具体的な場所のヒントがないんだよな。 そのとき、周辺の壁にムービングサインが流れていることに気づきます。「What is the Earth?」「What is an Ocean?」「How many Countries are there?」といった根源的な問いが連なっていました。それを見てやはりこの映像は地図なんだと確信。 地図には文字と数字と線が描かれていますがやがてすべてが崩れて「線」だけに回収され、しばらくするとまた再構築されたりします。僕たちの知識にある国とか町とかってイメージでしかなかったり、普段見ている風景と地図ってかなりギャップがあるわけで、僕たちは情報や知識によって山やら国やら境界線を理解しているんだなと思い至る。 情報量の少ない地図に、謎のテキストとサウンドという極度に限定された情報を前に、自分が何を展開できるのかを試されるような展示でした。情報過多の時代、僕たちはあまりにも外部のイメージからしかものごとを思考できなくなっているのかもしれません。誰だって結局、参照するのは過去の体験と記憶になるのですが、ちゃんと自分の中からそれらを引っ張り出して思索を巡らせるということはもはや新鮮な体験でもありました。 自分の中に潜っていか

アートは世界の鏡なり。

8年愛用したモンベルのサンダルが潰れたので翌日即補充。定番商品のありがたみよ。 さて。森美術館で開催中の「ワールド・クラスルーム:現代美術の国語・算数・理科・社会」を鑑賞。開館20周年記念展だそうですが、ちょっと前に周年の「LOVE展」やったばっかじゃん!と思ったらあれはもう10年前でした。うそやん。 てのはおいといて。さまざまなものに光を当てその手法も多岐にわたる現代美術はもはや総合学科とも言うべきもの。ということで、アートを国語・算数・理科・社会・哲学・音楽・体育・総合とわけてキュレーションした展覧会。国語なら言葉にまつわる作品が、社会は作品数も多くてさまざまな世相を切り取ったもの、理科は化学を参照したり科学的アプローチを取ったものなどといった具合。 ここ数年森美術館はアジアを意識していると思いますが、今回もやはりアジアの作家が多く出品していました。必然的にアジアの国々の社会を切り取ったものも多いので、地味と言えば地味かもしれませんが、グローバルで観た美術館のアイデンティティとしては正しいんだろうなと思いました。宮島達男さんのデジタルカウンターや、奈良美智さんの絵画、杉本博司さんの写真など日本のスターアーティストの作品も。 アートを入り口に世界のさまざまな物事に触れられること、それらの背景を知るきっかけを与えてもらえるのはとても貴重なことだなと再確認する展示でした。好きだったのはメイン写真の作品でジャカルタの古い自作看板を交換して収集したもの。 しかしお客さん、外国の方がとても多くて驚きました。あと、5/27〜28に行われる六本木アートナイトの作品が屋外に先行展示されていましたよ〜。行きたいな。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

揺れるカラフルの世界。

ティラノサウルスは鈍足だったとか、今の技術で新たな恐竜の生態がわかってきてるそうで。ロマンだなぁ。 さて。東京オペラシティアートギャラリーで開催中の今井俊介「スカートと風景」を鑑賞。グラフィカルなビジュアルに期待した通りの、カラフルでポップな好みの世界が広がっていました。 鮮やかな色彩とリズミカルなパターンの絵画に加え、その模様を取り入れたパジャマやフラッグなども展開されていました。果たしてこれはどうやって描いているんだろう。全部フリーハンドなのかな。マスキングテープとか使っているのかな。絵柄はどう構成しているんだろう。単なるカラフルでかわいい以上の見応えがありました。 そして展示の終盤にその回答はすべてあって、まず画面構成はすべてコンピュータ上で行われていました。そこで決まったものをペイントしていき、マスキングテープも使用されていました。原色を多様し大胆に組み合わせる色彩感覚は作家独自のもので、実際に使用している絵の具のサンプルや、そのプロセスを収めたスナップ写真も惜しげも無く展示されていたよ。 あわせて8分ほどのインタビュー映像もあって、このスタイルに辿り着いたのは、知人の方のスカートのドレープを見て「この美しい風景を絵にしよう」と思ったんですって。すごいひらめき。そして見事に具体化され、ペインティングの枠を超えて新たにアパレルになってるのって面白いですね。 単純なのかもしれないけど独特のスタイルで魅了するナイスな展示。トートバッグやテキスタイルなどのグッズもありましたが僕はステッカーを購入。マグネットが欲しかったけどなかったから、このステッカーに磁石を貼ればいいかなと。Tシャツあったら買ったのにな〜(派手?)。 会期は6/18まで。よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

ウェスすぎる風景を観てきました。

チキンタツタ頼んだのに違うバーガーが届いたことにひと口食べるまで気付きませんでした。 さて。天王洲の寺田倉庫G1ビルで開催中の「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」に行ってきました。アメリカのウェス好きさん?が、世界中でうわ〜ウェスアンダーソンぽいわー!という風景を集めてインスタにアップしているらしく、それのリアル展示版。 まあ見事なまでにウェスっぽくて、本人も「確かに僕っぽい」とコメントもしていました。シンメトリーで、ロマンチックで、ちょっとレトロ。そんな風景が世界にはこんなにもあるんですね。古いホテル、懐かしい建物、キッチュな景色。 展示は10のセクションに分けられていて、ホテルや駅、プールなどでまとめられています。全体として、「身の回りにある素敵な風景を探しに旅に出よう」というテーマがあるのはとてもいいと思いました。僕はレトロなマンションの前のバスケットコートの写真がいちばん好きでした。 これ、書籍化もされていて、以前それを買おうか悩んでいたのでこの展示があると知って行ってきたのでした。会場で書籍買おうと思ってましたが、展示見たらまあ買わなくていいかってなっちゃいました。インスタ見れば見られそうですしね。なんつって。 とにかく圧倒的に女性のお客さんが多くて、みんなカワイ〜と言いながら写真撮りまくってました。人多すぎるから写真たくさん撮りたい人は朝イチとかに乗り込んだほうがよさそうです。この人たちがみんなウェス・アンダーソンの映画観ているのかというとそうでもないような気がしましたがどうでしょう。 僕も『犬ヶ島』まだ観てないから早く観ないとね。鑑賞後は運河沿いのWHAT CAFEでおビールを一杯。よき時間を過ごしたのでした。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

ミュージアムはサードプレイスだ。

日経新聞の「再生ミュージアム」という建築家の青木淳さんの連載が楽しかったです。デンマークの「ルイジアナ美術館」と「弘前れんが倉庫美術館」にとても行きたい。 さて。同じく日経の寄稿で「美術館は情操を育む第3の場だ」という記事がありました。自宅と職場に次ぐ第3の場=サードプレイスはカフェなどがよく挙げられますが、確かに美術館もサードプレイスたりうるなと目からウロコです。まあ、一部の超人気展覧会(コロナ以降は入場制限でそういうのなくなったのかな?)だと落ち着かないけど、それはそれとして。 ポイントは「情操」で、情操教育などの言葉がありますが、今ネットで辞書引くとこう書かれていました。 「道徳、宗教、芸術、学問など社会的価値をもった感情の複合という意味でとらえられる場合。絵画や音楽を鑑賞するとき、情動のようなはっきりしたものではなく、なんとなく心が洗われるとか、身が引き締まるとかいう感じになることがある。このような漠然とした、いくつかの感情が複合したような状態をいう。この情操を身に備えた人間は、社会的価値のうえで高く評価される。一般にいわれている情操教育の情操というのは、この意味で用いられていることが多い。」 難しいなヲイ! でも、「漠然とした、幾つかの感情が複合したような状態」というのはいいですね。つまり簡単には言葉にできないということです。本人もこれがなんだかわからないやつ。合理性とは対極にありそうなこういう情操と向き合うことが、私たちには必要なんだと思います。そしてそれは答えのない問いを手に入れようとする姿勢であり、昨今盛んに求められているやつであり、それと出会いやすいのが美術館という場所、特に現代美術かもしれません。 自分が美術館に行くのが好きな理由を言い当ててくれているような、個人的には刺さる良記事なのでした。リンクはこちらです。 美術館、情操育む「第3の場」 そういえばここのとこ美術館に行けてなくてイケてないぜ。よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

草間トリックス健在!

NYCマラソン、無事にエントリーしました。11月に向けてがんばるぞ(ランと英会話)。 さて。カーサブルータスの最新号が「草間彌生、最新案内」特集だったので即買いです。10年ぶりのルイ・ヴィトンとのコラボレーションが世界中で話題ということでの今ですね。お店に行ってみましたがもうだいぶ売れちゃってる模様。でも、3月には第2弾がドロップするそうなので要チェック。 で、それと同時に原宿にポップアップストアが出ていたこととか、都内各所でさまざまなインスタレーションなどがあったこととか、全然知らなかったー!! 知ってたら絶対見に行ったのにな。増上寺とか芝公園とか行幸通りとか。。。情報感度が落ちていることを実感せざるを得ない。 ま、それはそれとして。僕の草間さんの原体験は森美術館での個展「クサマトリックス」です。六本木ヒルズ開業間もない頃で、物見遊山的に行きましたし、アートらしいアートを見たこともなかったので、完全になんだこりゃ〜とエンターテインメントとして楽しみました。 今もそれはあんまり変わっていなくて、水玉とカボチャのアイコニックさとフォトジェニックさにただただ食いついているだけのようにも思います。一言でいえば、カワイイ。その後、いくつかの個展など彼女の作品を見て、知識も増えたけれどもなお、唯一無二のポップさと毒々しさに魅せられている。 あえていうなら草間さんの魅力はオブセッション=強迫観念かなぁと思います。執拗なまでの増殖性と有機性、そして「愛はとこしえ」という普遍的なメッセージ。病的だけど、それゆえに心を捉えるといいますか。みたいなこれまでの足跡をまとめた一冊でした。あらためて国内各地のパブリックアートも観に行きたいし、今香港でやっている回顧展も行きたい(GW・・・か!?)。 ちなみに長男次男とも「すご」「こわ」と言いながら興味津々でした。越後妻有で見たやつだよって教えたら納得してて、直島と十和田に行ってみたいそうです(中に入れるカボチャが刺さったました)。あと松本を走るバスと香港の地下鉄に乗りたいそうで。笑 まだまだ僕たちを魅了してくれることを願いつつ。よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

集め、切り貼りする、という宇宙

1ヶ月さぼったスイミングに行ったらしっかり衰えてて悲しいです。 さて。国立近代美術館で開催中の大竹伸朗展に行ってきました。大竹さんと言うと直島の「I♡湯」というイメージですが、キャリア50年で国際的にも評価されているアーティスト。 とても濃密な展示でした! なんせ500点にも及ぶ作品が集まった一大スペクタクルを、時系列関係なく7つのセクションにわけて展示。9歳で作ったという最初期のコラージュから昨年発表した最新作までずらり並ぶのですからそりゃすごい。 すごいのは物量よりも中身でして、とにかくあらゆる素材をコラージュしまくる。平面から立体、そして本や箱といった物体、ひと部屋?やステージなどの全体と、スケールもさまざま。使われている素材も切り抜きや写真、オブジェに看板となんでもござれ。国だって問いません。仮面ライダーやウルトラマンそして「キカイダー」も登場してうちの息子は喜んでました。 コラージュって素材一つ一つにストーリー性があり、それを切り張りすることでまた違うケミストリーが生まれるもの。大竹さんの作品はとにかく情報量が膨大すぎて何かを読み取るのは難しかったのですが、その分作品そのもののパワーというか圧みたいなものがすごかったな。自由だし楽しいと素直に思えたし。ゼロイチとは違う価値観。 これだけの素材を収集するのも大変だろうし、そこからどう編集して作品化しているのかも興味があるし、キャリアがあるとはいえこれだけの量を形にしてきたことにも、純粋に畏敬の念が。集める、切り貼りするってとても原始的だけど、それも突き詰めるとこんな宇宙になるんだなという感動。 コーラジュ以外の絵画なども楽しめましたし、美術館の外観には「宇和島駅」のサインがあるじゃない!なんてのもギミックがあってよかったです。この展覧会そのものが壮大なコラージュ作品でもあるのでしょうね。 自分も何か作りたくなる創作意欲を刺激してくれる展示でした。お子さん連れの方がけっこう多かったのは、3連休だからというだけではなさそうです。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。