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12月, 2023の投稿を表示しています

感想_レディ・バード

ということで、昨日の『バービー』のグレタ・ガーウィグつながりで『レディ・バード』(2018年公開)鑑賞。面白かった。 主演のシアーシャ・ローナンのイメージは自分の中ではかわいらしい少女って感じなのですが、それを裏切るオフビート系の作品でした。サクラメントの女子高生クリスティンは、自らを「レディ・バード」と名乗り(家族にもそう呼ばせる)、日々に退屈し、毒も吐けば衝動的な問題行動も起こし、モヤモヤした「今いるここ」から抜け出したいと感じているガール。うん、わかるぞそういう感じ。 この手の青春イニシエーション系作品は定期的にある気がして、ちょっと前だと『ジュノ』でもう少し前だと『ゴーストワールド』(ちょうどリバイバルしている)とかでしょうか。”普通”とはちょっと違う自分を抱えて、居場所がないはみ出しものたちの自己実現。 レディ・バードはでもその系譜とはちょっと違うのか(ポップではない。でもカワイイ)。母との愛情にすれ違い(いきなり飛び降りる衝撃!)、恋愛にはわりと積極的。でもいい感じの男の子はゲイだし、次の彼は素敵だけど一番にはなれなくて。 なんか上手くいかない。何がダメなのかわからない。自分か、環境か、若さか。恵まれていないわけではないけれど、幸福だとは思えない。母のことは好きだけど、愛されていると実感できない。この街を出れば何かが変わるんじゃないかって思う、第一期青春の日々のもうすぐ終わりのところ。 いろいろ出来事はあるけれど、全体として決定的な起伏はありません。テンションはややダウナー。それがリアルであり、小さなエピソードの積み重ねの中に、彼女の葛藤や変化が映し出されていく心地よさというのでしょうか。観客はレディ・バードの観察者になるけど、詳細な説明はないので想像で話の余白を継ぎ足していく。で、共感したり、しなかったり。でも最後、なんとなくほろ苦さを感じて終わるんじゃないかな。この町を出たけど、あんなに望んでいたはずの未来で待っていたのもなんだか同じようなモヤモヤであり、多分どこまでいってもつきまとうだろう孤独だったという第二期青春の始まり。的な終わり方。 町をよく観察している、それはすなわち愛情だ、というシスターの言葉が素敵でした。初めて助手席から運転席に乗り換えて知った景色。それを母親と重ねて知る感情。レディ・バードはきっと人よりも色々なものが見えすぎるのだろう

感想_バービー

さて。アカデミー賞も近づいてきたので、ノミネート候補の『バービー』(2023年公開)鑑賞。面白かったわー! オープニングのバービー登場で子供らが赤ちゃん人形破壊するシーンから笑わせてくれて(あれなんかのパロディですか?)、全体でもシュールギャグぽいのが散りばめられた良質コメディ。でもいろいろ皮肉も効いていて、最後はちょっとグッとくるものもあって、おバカな商業映画ではない。 超前時代的アイコンゆえ、現代の価値観とは全く折り合わないバービーをフックにした自分探しストーリーなのですが、近現代の女性の生きづらさとか訴えをリアルに落とし込んだ女性賛歌になってるのが見事。男社会の欺瞞を暴きながらも男たちなりの苦しさも出してくれました。ケンダムランドを作るケンもまた男性性の犠牲者に見えたよね。 みたいな話を、バカバカしいほどにバービー世界を再現し、人間世界との行き来は書割セットでコミカルに描いたのが秀逸すぎるやん。脳みそお花畑なバービーを演じたマーゴット・ロビーも、ダサい金髪野郎の悲哀を出し切ったライアン・ゴズリングも良かった! 謎にゴッドファーザーとかスナイダー版ジャスティスリーグとか映画トリビア入れてくるのも面白かったね。 かと思えば、壁を作って世界を分断するのはトランプ風刺だろうし、死をタブー視するバービーランドの近視眼的危うさはポピュリズムへのアンチテーゼにも思える硬派な一面も。ラスト、バービーが見た人生の記憶は、幸せなシーンばかりで、こんな世の中ではあるけれどその人生には幸福な出来事もこれだけたくさんあると肯定的に人の世を描いてくれてるように感じて救われました。 色んな表層的価値観や役割定義に踊らされがちな昨今だけど、大切なのは自分とは何者かを知ること。完璧だったバービーも、ただの付属品だったケンも、誰かに与えられた設定を乗り越えた先に初めて生きる意味を見出したように。 主演2人の実年齢や、ティーンのサーシャじゃなくてその母が頑張るあたり、この作品のターゲットって古い価値観に縛られるリアルバービー世代の40〜50代なのかもですね。今の子はもうデフォルトで呪い解けてるのかな。解せなかったのはラスト、え、妊娠フラグ?と思ったのですが、あくまでバービーの進化のサイン??わからんかった。生まれ変わって改めて女性として生きることの喜びや幸福の象徴だったのかな。母娘の絆はテーマのひ

科学で哲学なオラファー展へ

麻布台ヒルズがオープンしたということで行ってきました。神谷町と六本木の間くらいというなかなか行きづらい場所ですね。 お目当ては、麻布台ヒルズギャラリーでやっていたオラファー・エリアソンの展示です。ヒルズの館内にも彼の恒久作品があって、そのつながりでのこけら落としなんでしょうね。 コンパクトな展示ながら十分に心をつかむ内容でした。赤い球体が光を放ちながら回転する作品、ホースから撒き散らされる水の軌跡を暗闇の中で照らす作品、などなど宇宙的?な物理運動を取り入れながら作られているのが特徴的。 乱反射する光を見ながら、モノの見方は角度で変わるよなということを思ったり、伸び縮みする影にいろんなものの因果や影響もまた光の強さや角度で変わるんだよなと思ったり、科学的なのに自然摂理のようなものを感じさせてくれるんですよね。自然と科学はひとつってことだ。一見、不規則に見えるもの。まったくの偶発的なもの。それらも宇宙視点で見ると定められた法則のようにも思えてくる神秘。神の手のような。 だからか、ずっと見てられるんですよね。機械的なのに無機質には思えない。制御されたランダム、ってそれはランダムなのか? みたいな。 光と闇、音と運動、なんだかそこにいると滝行でもしているような(したことないけど)マインドフルネスを感じるのでした。何言っているのかわかりませんが。展示ラストのインタビュー映像もよかったです。 館内の天井にある彫刻作品は、ゴミの燃焼から生まれる亜鉛を再利用しているそうで、環境への意識も。鈍色の多面体は硬質だけど有機的な曲線を描いていて、これもまたコスモを感じるのでした。さすがワールドクラスのアーティスト。たっぷり堪能できました。 麻布台ヒルズギャラリー開館記念「オラファー・エリアソン展 相互に繋がりあう瞬間が協和する周期」24/3/31まで。よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

リーグワン23ー24開幕!

さて。ワールドカップの後半も醒めやらぬままリーグワンの開幕です! 本日は日産スタジアムへ我らが横浜キヤノンイーグルスのホーム開幕戦へ。先週の開幕戦、パナソニックにボコられたけど今日はやってくれるはず。対するはトヨタ! この日はホーム開幕特典として先着15000名にイーグルス特製フリースブランケットもらえるということで気合い入れてキックオフ1時間前に入ったのに配布終了しててショック!(なお入場者数は31312人) やはりワールドカップ効果かもね。 なんせイーグルスには優勝チームのスクラムハーフ・デクラークがいるし、トヨタにはNZのボーデン・バレットとアーロン・スミスが入っちゃって、まんまワールドカップ決勝やんか!という感じ。 さて、試合の方はイーグルスがショートパスをトリッキーにつなぐアタックで主導権を握り、ガンガン走りまくって面白い!! 対するトヨタは統率は取れてないけど、スミスとバレットの2人だけで局面打開しちゃうところが恐ろしい! けど他ぎミスってスミス激おこみたいなシーンもちらほら。 後半も接戦が続くも、最後の10分でリードしていたイーグルスがイエロー取られて1人少なくなり猛反撃を受けまくり、これは押し切られると負けを覚悟したもののなんとかギリギリ踏ん張っての逃げ切りでシーズン初勝利! スコアは24-22でした。燃えたな〜。 開幕戦ということでスタジアム外での催しもあり(スリッパ卓球、バスケのフリースロー、ラグビーのパス体験、白バイ試乗など)、長男君と満喫したのでした。去年の上位チームがガンガン補強したのに比べるとイーグルスは大きな選手の入れ替えはない印象だけど、プレーオフ目指して頑張ってほしい! また観に行くぞ! よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。