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山形よりみち記その4。天国か楽園か! キッズドームソライ

  ようやくワクチン3回目の予約完了。接種率あがればまた少し落ち着くかな? さて。スイデンテラスの隣に、ホテルと同じ山形デザインさんが手がけた子供のための施設、キッズドームソライさんがあり利用したのですがこれが素晴らしく良かったです。 https://www.sorai.yamagata-design.com/ 施設内は「あそぶ」と「つくる」に分かれていて、遊ぶはご覧のアスレチック施設。これが素晴らしくて、ドームの名の通り円形の建物なのですが、表側はボルダリングなどクライム系、裏側はネットの森のようかつ絵本スペースも。さらに半地下もあってそこは未就学児向けの積み木や絵本も。建物内部全体をぐるっと一周できるので、シームレスに楽しみ続けられるようなデザイン。平らなところがほとんどなくて、自然な滑り台になってるのも神業的。曲線ベースのデザインってすごくいいな。 作るは、アトリエ工房といった趣で、工作のための道具、材料がてんこもり! 紙類はもちろん、モールやらペットボトルやら、廃材もたっぷり。ハサミやのり、テープ、ボンドなども完備。さらには別料金だけどモーターキットもあったりして高度な造作まで楽しめるという! ほか、オリジナル缶バッジ作れたり、空気鉄砲作れたり、小学生が夢中になれる夢工房だぜ。 この、遊ぶと作るが同居してるのが本当に素晴らしいと思います。体を動かすのが好きな子も、じっくりモノ作りが好きな子も、その両方も、あらゆる個性を受け止めてくれそう。ほして子供が迷わない、自然に取り組める子供ファーストなデザインもまた秀逸です。 ほかにも、宝探しとか設計図作りとか、いろいろありました。子連れで鶴岡に来たら、足を運ぶ価値がある、というかここ目当てに来てもいいのではないかと。なお、現在は事前予約制となっていました。 というか、大人も子供同様に楽しめるし、何より生き生きしてる子供を見て元気もらえる場所です。全国展開してほしいレベル。 ますます庄内が好きになる。よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。 山形よりみち記その1。念願のスイデンテラスに泊まる・前編 山形よりみち記その2。念願のスイデンテラスに泊まる・後編 山形よりみち記その3。最高の春スキーを湯殿山にて。 山形よりみち記その4。天国か楽園か! キッズドームソライ 山形よりみち記その5。美しくて健やかな写真と

山形よりみち記その3。最高の春スキーを湯殿山にて。

  冬季五輪から盛り上がっていた気持ちをようやくぶつけることができます。 ということね、もう4月ですがようやく今シーズンの初滑り。出羽三山の湯殿山スキー場へ。この日は文句のつけようのない快晴で、最高に気持ちよかったです。 コース数は多くないけれど、十分な長さがあり、かつ、一つひとつの中身が多彩でとてもいいゲレンデでした。パークアイテムも大充実。玄人向けと言えそうです。R天国の異名は伊達じゃない。 運営もお客さんも地元の人が多いようで、首都圏から日帰りできるスキー場とは明らかに異質で、つまりは商売っ気が少ないということなのですが、僕にとっては新鮮でした。例年3月いっぱいの営業だそうですが、それは4月からはみんな本職の仕事があるからだとか。まだ十分な積雪量なんですけどね。 それにしても周りの山並みがとても美しく、ゲレンデに向かう道すがらも鳥海山の綺麗な姿を拝めたり、お隣の月山は別格の白さを見せていて、いよいよ4/10オープンだそう。今年は御多分に洩れずすごい積雪だったそうですよ。 群馬新潟の雪山にはけっこう行きましたが、庄内地方のこの平野と山脈のコントラストは心底キレイだと思いました。ゲレンデも気に入ったし、また遊びに来たいと思いました。なお、夏はキャンプ場になるそうで、それはそれで楽しそうです! よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。 山形よりみち記その1。念願のスイデンテラスに泊まる・前編 山形よりみち記その2。念願のスイデンテラスに泊まる・後編 山形よりみち記その3。最高の春スキーを湯殿山にて。 山形よりみち記その4。天国か楽園か! キッズドームソライ 山形よりみち記その5。美しくて健やかな写真と建築と公園と。 山形よりみち記おまけ。庄内の素敵なものたち

山形よりみち記その2。念願のスイデンテラスに泊まる・後編

山形といえば、スパイバーもありますね。実は先端都市。 さて。山形のホテル、スイデンテラスについての続き。レストランで食事をしましたが、こちらのコンセプトはfarm to tableということで、地元食材をふんだんに。朝食ビュッフェが最高で、ご飯はつや姫の白米玄米あるし、山菜汁絶品だし、庄内野菜に庄内豚にとてんこもり。自主農園で育てたというベビーリーフのスムージーも美味。お酒も日本酒にビールと地元産が並びます。テラスからの眺めも良くて、もう少し暖かくなったら最高でしょうな。 お風呂は温泉が3つで、1日ごとに男女入れ替え制。大きくはないですが、全体が円形の作りでその丸みがなんだか心地いいのです。特に月白の湯の露天風呂が最高で、さながらインフィニティ水田。柵囲いはあるけど、日中は解放感抜群で、子(?)曰く「稲になった気分」とか。笑 目の前にサギもやってきて、田んぼアングルで拝めるのは超レア体験! 水風呂も露天なので、サウナと合わせて最高なととのいが得られました。ロウリュもあるよ。 さらに、ライブラリーラウンジが2箇所あって、ブックディレクターの幅さんが選書した本が並ぶのでまったり過ごすのもいいほか、SAKE BARなるバーもあり、クラフトビールや日本酒セルフ飲み比べもあります。 とまあ、各施設すべてハイクオリティなので、お籠りステイにもぴったりだし、ワーカーション需要も高まっているそうですよ。この環境で仕事になるのかわかりませんが(誘惑が多すぎる!)、とにかく素晴らしいロケーション&施設ということですね。 これは確実に再訪したい場所。というか常宿にしたいレベルです。ぜひ皆様、一度お運びあれ! よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。 山形よりみち記その1。念願のスイデンテラスに泊まる・前編 山形よりみち記その2。念願のスイデンテラスに泊まる・後編 山形よりみち記その3。最高の春スキーを湯殿山にて。 山形よりみち記その4。天国か楽園か! キッズドームソライ 山形よりみち記その5。美しくて健やかな写真と建築と公園と。 山形よりみち記おまけ。庄内の素敵なものたち

山形よりみち記その1。念願のスイデンテラスに泊まる・前編

  新年度、フレッシャーズの皆さんをお見かけして心新たでございます。 さて。山形は庄内地方へと参りました。羽田より1時間。空港はわりと賑わっていたように思います。今回の宿は、庄内ホテル・スイデンテラスさん。建築家・坂茂さんが手がけたことでも知られます。開業以来ずーっと気になっていた宿に、ついにたどり着きました。 【公式】スイデンテラス 開業当初から気になってましたが、すこぶる素敵でした! 田んぼの中に浮かぶようなロケーション、今の季節は田んぼには水が張られているだけですが、それでも庄内平野の抜け感がとても気持ちいいです。空と田んぼの間の宿。コンセプトは「晴耕雨読」で、まさにその名のとおりと言う感じ。 館内は木材をふんだんに使った坂茂さんらしい佇まい。2階フロントまでのアプローチも、そこから見える雄大な景色もスペシャルです。全体的に木のナチュラルさとモダンさが同居してて心地いい。この時点で泊まる価値あり。 1泊目はソライルームというファミリータイプのお部屋をチョイス(現在はなぜか電話予約のみ)。ベッドルームとリビングルームがあり、そしてオモチャと絵本がたっぷりで、子連れには最高です。ベッドもシグニチャーの紙管仕様であがるぜ。2泊目はメゾネットタイプのお部屋。次男が階段転落という予想通りのハプニングはありましたが、こちらも広くて快適そのもの。 ホテル目当ての旅もいいもので。明日に続く。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。 山形よりみち記その1。念願のスイデンテラスに泊まる・前編 山形よりみち記その2。念願のスイデンテラスに泊まる・後編 山形よりみち記その3。最高の春スキーを湯殿山にて。 山形よりみち記その4。天国か楽園か! キッズドームソライ 山形よりみち記その5。美しくて健やかな写真と建築と公園と。 山形よりみち記おまけ。庄内の素敵なものたち

感想_その着せ替え人形は恋をする(1~9巻)

今日はくそつまんないマンガを紹介します。ウソです(エイプリルフール)。 さて。マンガ『その着せ替え人形は恋をする』1~9巻読了。ひな人形工房に生まれ、ひな人形を愛するが故、友達もいない高校生の五条。ひょんなことから、奔放で人気者でギャルの同級生・喜多川海夢のコスプレ衣装を作ることになり、正反対とも言えるふたりの交流が始まる。ついに完成した衣装は、海夢の想像を超えるクオリティだった。 アニメ化もされて大ヒット漫画、既刊一気読みしました。面白かった~。いきなりエロゲームのコスから始まるというウルトラC! これがお下品にならないラインで笑わせてくれてセンス抜群。冴えない純朴少年と、イケてる女子のラブコメって、王道設定ではあるけれども、まんまじゃないのがよかったです。 五条君、ひな人形職人という基本設定がしっかりしているので、いろいろ抜けてても好感度マックス。私服が作務衣しかないとかいうありえんだろw設定も全然素直に受け入れられちゃう。海夢の行き当たりばったりに「行動力!」と翻弄されるの超いいね。 一方の海夢、エロカワイイのはお約束として、こちらもぶっ飛んだ天然ぷりが最高ね。ギャル語(&おバカ風)全開で、テンションもぶちあがっているのに、早々に五条君への恋心を自覚してからというもの、まさかのうぶうぶ全開放というのが面白すぎ。恥じらう表情×幼児化する言語能力で、向かうところ、敵、いません。 もうひとつ見逃せないのは、出てくる人全員いい人ってところですかね。学園もの、ラブコメものだと、ひと昔前ならいや~な仮想敵のひとりやふたり出てきそうなもんですが、この世界にはそんなの存在しません。コスプレイヤーはもちろん、人形職人に対しても、愛情たっぷり、誰かの好きやこだわりを決して否定することのないスタンスがこの世界を支えているよね。さながら木皿泉だわ。箱庭ファンタジーだけど、本質をついているから泣けてくる(いや、泣きはしないんだが)。 ただ、5巻くらいから、新しいコス⇒ハードル登場⇒でも乗り越えて大成功、というフレームにちょっと飽きてきてしまったので、この先どうなるのかな、というところ。男装もしちゃったし、コスプレのバリエーションだけで押していくのはちょっときついかも? かといって、ふたりのラブ路線をあんまりマジで深ぼるのもちょっと違うような気もするし。なんて考えちゃうのは、ハマっている

感想_ジャングル・ブック

  ソニーとホンダのEVってちょっとワクワクしますね。どんなブランド名になるのか。 さて。ジョセフ・R・キップリング『ジャングル・ブック』読了。集英社の「子どものための世界文学の森」シリーズです。祖父が長男に買い与えてくれたものを、読み聞かせしました。文字だけの本の読み聞かせ、そこそこ長いし、なかなかハード。 読み聞かせではありますが、僕自身読んだことなかったので自分の興味優先で読みました。トラにさらわれた赤子がオオカミに育てられ成長するも、人間ゆえにやがて群れを追われ、しかし人間社会にも居場所がなく、という物語。ワイルドだぜ。 動物たちはジャングルの掟を守りながら生きてはいるものの、対立もあれば逸脱もあり、一筋縄ではいきません。一方で、ここに出てくる人間たちも、よそものである主人公を受け入れられないために、かなり悪者として描かれます。どんな社会にもルールがあり、しかしそれを破るものがいる。善良なものもいれば、そうでないものもいる。 主人公自身も決して紳士というわけではなく(ジャングル育ちだしね)、怒りっぽいし、お調子ものっぽいし、最後には群れを捨てて独立しちゃうし。現代に置き換えても、なんともいえないですね。もう少し平和的にいけかなかったものかな、と。 ただ、本作はいくつもの短編の3編をまとめたものということなので、これだけで物語を評価はしないほうがよさそうです。そういえば、少し前に映画化もされてましたっけ。急に観てみたくなりました。子供と一緒に観れるかしら。 そして、この小学校低学年向けのシリーズ、全40作あるのですが、恐ろしいことにほとんど読んだことないです。「若草物語」とか「海底二万里」とか「ロビンソン・クルーソー」とか。だいぶ遅いけど、子供用とかこつけて一緒に読むことにしようと思います。これもまた学び直し。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

横須賀カフェによりみちを

さて。横須賀に行った時に、どこでご飯食べようかとGoogleマップで「カフェ」と検索して出てきた「 toirowa 」さんにお邪魔してきましたが、とても素敵でしたよー。2021年の9月だかにオープンしたばかり。 地元出身の3人組が民家をリノベーションしてオープンさせたというカフェ、古家具(販売もしてる)をゆったりした居心地のいい空間で、コーヒーや日本茶、中国茶と、食事を提供しています。キッシュをオーダーしましたが、おそらく周辺で採れた野菜をたっぷり使っていて美味しかったです。最初にコーヒーも頼もうとしたら、よかったら食事を終えた後の気分で決めてくださいね。と言われるくらい、ゆったり過ごす事を推奨しています。 ところで、横須賀はちょっとしか来たことがないのですが、何やら町歩きが楽しげですよね。観光地としてもそうですし、どぶ板通りとか、風情があって散歩のしがいがありそうです。洒落た雰囲気のお店もちょこちょこあるみたいですし、海軍カレーだって食べたいし。海も近ければ公園もあるさ。 フラット歩いたら線路の下にこんなアートもありまして。今度ゆっくり散歩したいと思います。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

感想_『ドライブ・マイ・カー』(2回目)

  アカデミー賞は 『コーダ あいのうた』 が獲得しましたね〜! 手をパタパタする拍手、胸熱! そして、我らが『ドライブ・マイ・カー』も下馬評通り、国際長編映画賞を受賞しました! おめでとうございます!! ということで記念して2度目の鑑賞です( 初見のレビューはこちら )。( あと原作のレビューはこちら )。『コーダ』もこれも、手話が重要なファクターになってますね。前者では家族の絆であり主人公を縛る足かせとして。後者では分断を乗り越える可能性のメタファーとして。 2度目でもやはりその美しい映画としての佇まいに惹かれました。物静かで、多くを言葉で語るわけではないのに、全体としては雄弁に語ります。今回印象に残ったのは「僕は正しく傷つくことができなかった」という家福のセリフ。妻の秘密を知った彼は、それを受け止め切ることができずに逃げてしまった。その悔いが、2年経った今も深い傷を負わせている。 一方で、ドライバーのみさきもまた誰にも言えない罪と秘密を抱えていた。北海道、上十二滝町で二人はそれぞれの罪を交換し、ようやく自分を赦すことができます。嘘も間違いもなくて、それは起こるべくして起きたことであり、どんな過去も後ろへと流れ去っていくものであること。北海道に向かう途中。車の後ろへと流れていった景色は、このシーンへと繋がっていたように思いました。あらゆるものは、僕たちの中を通り過ぎていく。 それでも、道は続いていく。僕たちは人生という車を走らせ、生きていくしかないのです。いつかすべてが過ぎ去ってしまうとしても、その一つ一つには何かしらの意味があるということ。それはその時には気づかないかもしれないけれど、あるいは、まったく意味がなかったとしても、僕たちを形成する欠かせない何かではあるのでしょう。ラスト、海を越え、車を受け継いだみさきの表情は、だからこそ人生は美しくて面白いと、語っていたように思います。思えば遠くに来たもんだ。 いや本当にすごい快挙ですね。濱口監督の過去の作品も、ぜひ拝見したいと思います。よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

春は映画の季節

いよいよ本日、アカデミー賞の発表ですね。楽しみです! ということで、週刊文春から映画特集(年に2回出ている模様? いつから??)が出ていたので思わず手に取りました。映画雑誌を買うのはいつ以来でしょう。最新作情報、そしてアカデミー賞情報、いろいろなインタビューやコラムもあって充実の一冊。映画じゃんじゃか観たくなるよ。 僕が映画をたくさん観るようになったのは、2007年くらいからで、雑誌の映画ページの編集を担当してからでした。映画の紹介をするからには、責任持ってやらなくてはらならない。そのためには映画に詳しくならなくては!の一念です。それまでは月に1本観ればいいほうだったのが、年に200本以上観るように。で、まんまと沼にはまりました。映画、こんなに面白いのかよ!って。 映画の面白さは到底僕には語り切れませんが、確信をもって言えることがあるとすれば、「世の中にはこんなにたくさんいい映画があるのか!」です。ランキング上位には入らないかもしれない、全国でわずかな劇場でしかかからないかもしれない、だけど、とんでもなく素晴らしい映画が、世界中で生まれているということ。それが最大の衝撃であり、そしてその衝撃にいくつも出会えたことがこのうえない喜びでした。 当然、映画に関する知識や情報も増えていって、そうするとさらに楽しみは増していきます。この監督がどうで、このモチーフはどうで。予備知識を必要とすることがいいとは言いませんが、深く浸る楽しみが存在するというのは確かですよね。さらに楽しいのは、いろいろな人の感想や解釈をネットで観ること。自分はここが刺さった。こんな風に感じた。では、他の人はどうだろう。今はうなるほどレビューがあふれていて、それを貪るように読むのも、映画の楽しみ方のひとつと言えるかもしれません。映画ってそういうプラットフォームでもあるんだな。 今僕が15歳だったら、映画に関わる仕事がしたいと、本気で思っていたような気がします。『パワー・オブ・ザ・ドッグ』と『ドリームプラン』が観たいですね~。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

感想_女のいない男たち(2回目)

無事に長男卒園式を迎えることができました。色々と感慨深いのでそれについてはまた今度。 さて。村上春樹『女のいない男たち』再読。2014年刊行の短編集。映画『ドライブ・マイ・カー』( レビューはこちら )の評価が高まるとともに、原作が入っているこちらも急上昇中。映画鑑賞後に読もう読もうと思いながら、ようやく再読しました。文庫の帯は映画仕様になってますね。 文春文庫『女のいない男たち』村上春樹 | 文庫 - 文藝春秋BOOKS 映画を観たときには小説の内容はすっかり忘れてしまっていましたが、改めてなるほど映画の原作になっているなと再確認(なんだそりゃ)。ご存知の通り、『ドライブ・マイ・カー』を骨格としつつ、『シェラザード』『木野』の2作も重要なモチーフとして取り入れられています。 しかし、よくこの短編を映画化したなというのが改めての感想で、確かに骨格は原作からスタートしているし、小説にあるセリフも使われている。でも、主人公の家福の生活や仕事ぶりやロケーションは映画独自のものだし、それがあるからこそ180分もの大作になり、結果として小説が描いていた世界を次元の違う豊かな物語として成立させていました。もう一度映画が観たくなる。 映画とは少し離れて、改めて小説としては、どのお話も、大切な女性を何かしらの理由で失う男たちの話です。死であったり、離婚であったり、あるいはただただ選択としての別れであったり。村上さんの作品は大抵どれも大切な女性を失っているとは思いますが、この短編集もそこから物語が始まります。それは人生を大きく変えるほどの痛みにもなっていますし、結果として自分と向き合うことにもなる。小説にも映画にもある通り、他人を知ろうと思ったら、自分の中を深く覗き込むしかない。それこそが、村上さんが一貫してメッセージしていることなのかもしれません。 大切なものを失った時に初めて、自分にとって大切なものとは一体何だったのか。なぜそれは失われてしまったのか。失ったことで自分はどうなってしまうのか。そういうことと向き合いうことになる。そこに何が残るとしても(残らないとしても)できればそれを受け入れ、乗り越えることが、人生の大きな意味を占めるということかもしれません。 小説単体としても十分に面白いですが、やはりもう映画とは切り離せない一作になったと思いました。ぜひ両方を行き来しながら楽しん

感想_不運からの最強男

プロ野球開幕! 新庄BB、残念でしたね。そして阪神大逆転負けェ…。 さて。『不運からの最強男』1巻読了。不運過ぎる前世から転生したジークベルトは、規格外の運を持つ「幸運者」だった。家族を守るため、強くなることを誓ったジークは、鑑定眼と圧倒的な魔力で頭角を現すが、幸運ゆえにチャンスとともに強敵さえも引き寄せるのだった。 かなり面白いです! 異世界転生のテンプレートではありますが、ストーリーが秀逸。まず「幸運者」の考え方がよくて、単なるラッキーではなく、ピンチを引き寄せることさえもチャンス【機会】としてとらえ、それを乗り越えることでさらに強くなるという設定。俗にいうピンチはチャンスをこんな形で表現した時点で勝利かも。 そして登場人物の奥行きもいい感じで、謎めいた叔父さんに、ジークを目の敵にする離れて暮らす兄、ジークを愛する家族たちと、配置もバッチリ。布石も効いてて、特典ポイントを家族のため惜しみなく使う決断をしたジークを見るヘルプの目や、魔術学校の怪しさ、そして母の最期の言葉と、これから回収されそうな案件もいろいろでとても楽しみ。 画力も高いし、強敵ゴブリンジェネラルとのバトルでは、いきなり3人のコンビネーションからの上級魔法炸裂が実に爽快でした。決め台詞「俺にはそれができる力がある!」もしびれました。 ということで、今後の展開を超楽しみに。よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

さあ、ひとり旅の時間だ

  ゼレンスキー大統領の演説、テキストで読みましたが、上手だたなと感じました。映像だとどんな印象だろう。 さて。オズマガジントリップ「春のひとり旅」特集が発売中。テーマは「古都」ということで、京都、名古屋の四間道(しけみち。初めて聞いた)、鎌倉、会津、宮崎の飫肥(おび。難読!)、桐生、四万十が紹介されていました。古都というだけあって古い街並みが残りつつ、新しいスポットが増えているそうで、どこも魅力的です。 そろそろね、また旅に出たい季節ですね。ひとりであれ、それ以上であれ。古都であれ、どこであれ。前にもどこかで書きましたけど、僕たちはときどき日常を離れることで、自分のことを客観的に、俯瞰的に見れたりするものですよね。旅に出ると「やっぱり我が家がいちばん」とか言ってしまうように。 日々はとめどなく流れ続けるもので、どうしても僕たちはその流れの中で生きていかなくちゃいけません。流れの中にいるということは、ある意味で前に前にと急かされることであり、留まろうと思えばしっかり足を踏ん張るなり、藁か何かを握りしめるなり、余分な力が必要で。 でも、物理的に離れてしまえば、がんばらなくても「いつもの流れ」から逃れることができて、その流れの速さとか、透明度とか、そういうものを他人事のように見ることができる。まあ、そんなものが本当に必要かどうかは、意見の分かれるところではあると思いますが、僕はそういうふうに遠くから日常を眺めてみるのがわりかし好きだということです。そういう種類のメンテナンスもある。 そんなわけで、近々、旅に出かけようと思うのでした。よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

壁とアートとざわめきの午後。

さて。横浜美術館は現在修繕のため長期休館中。横浜はここ以外大きな美術館ないので寂しいです。が、工事の仮囲いをギャラリーとした小企画展「Nea Artist Picks」がスタートしていました。たまたまお向かいのマークイズの4Fテラスから外を見たらご覧の景色が見えました。なかなか気持ちいいです。 取り上げられていたのは村上早さんで、「Stay Child」というタイトルで、18点の銅版画が展示されていました。上から見た時は、一連のストーリーのように見えましたが、実際には独立した作品のようです。一点ずつに、豊かな物語性がある。 例えば、大きな蜂に刺される女性。その横には女性をかつぐ動物(?)。といった具合に。人物には顔がなく抽象性がありながらも、前後の文脈を感じさせるのです。あるいは、動物と人間が対等に同居しているのも、寓話性があっていいんですよね。 解説によるとこれは作者のトラウマなどネガティブな記憶や痛みからきているそうで、なるほど確かにそういう重さはありますが、映画『パンズラビリンス』のようなダークファンタジーの趣で僕は捉えました(十分暗いか)。 非常に見応えがありましたので、ぜひ横浜にお出かけの際は足を伸ばしていただきたいです。11月まで展示されているようです。 ところで、ここは公園広場でもあるわけで、子供たちがはしゃぎ、たくさんの人が行き交う、賑やかなエリア。なかなか足を止めて作品を観る人が多くなかったのがちょっともったいないかなと。そのひはMMアリーナで「美少年」のライブがあったようで、そこから流れてきた方達が、囲いをバックにめっちゃ撮影会していました。おもしろいスポットです。 そんなこんなで。村上早さんの名前は憶えておきたいと思ったのでした。よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

ニッポンカルチャーをまだまだ僕は知らない。

僕の生活範囲は幸にして停電しませんでしたが、あらためて、何があるかわかりませんね。 さて。メトロミニッツ ローカリズムの最新号は「ニッポンカルチャー見聞録」。日本の文化といえばさまざまありますが、この特集では「銭湯」「民藝」「工芸」「スナック」の4つのカルチャーをセレクトしていました。なかなか、ニッチというかディープというか。当然、日本の文化がこれだけのはずはなく、シリーズ化していく特集のようです(多分)。 どのジャンルも、知っているようで知らないというか、もちろん銭湯は行ったことあるけれど行ったことのない銭湯のほうがはるかに多いし、民藝品も工芸品も持ってはいるけれど、誌面には「こんなのあるんだ~」しかありませんでした。スナックは、あれ、行ったことないぞ。 そう思うと、つくづく、人生にはやったことのないことばかりで、考えようによっては可能性の塊だし、知らないままというのはもったいないっちゃもったいないし、限りある時間のことを思うといくぶん途方にもくれちゃうし、そんな中で取捨選択しながら生きていくんだよなぁと意味もなく大げさに考えてみたり。文化って壮大ですね。ところで、どこからが文化なんだろ? 多分それは、誰かの営みの集積で、生活だったり仕事だったり娯楽だったり、いろんなものを含んでいるものですが、最少2人以上の人が愛好したもの、と言えるでしょうか。生活必需品ではないけれど、少し余計なものを、2つ3つ持っていたほうが、ゆとりのある暮らしになるように思います。自宅にお風呂はあるけれど、わざわざ銭湯に行くのはけっこう楽しいし、お皿はどこにでもあるけれど好きな器を探して旅をするのもわくわくします。また行きたいと思えるスナックがあったら、きっと豊かでしょうね。 ことさらに意識する必要はないのかもしれませんが、文化というのは生活の潤いだなぁと、ページをめくりながら思うのでした。ぜひ東京メトロのラックで。もしくは29日以降は電子版が購読できます。 Kindleストア-メトロミニッツ編集部 文化的なよりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

本当はどこまでだって歩いていける。

ちょっとラグビーの真似事したらものすごく楽しかったです。なんでラグビー部じゃなかったかなー(学校になかったけど)。 さて。雑誌Tarzanが「歩き入門」なる特集をしていたので、興味を惹かれて購入しました。「いま、みんなが歩いている。」ということで、歩く人、統計的にも増えているそうです。かねてからの健康意識の高まりに加えて、コロナが直接的に影響したことは想像に難くないですね。ウォーキングシューズの売り上げも伸びているんだとか。 「病気の9割は歩けば治る」と、医師の方がおっしゃるくらいで、頭の働きは良くなるわ、腸内環境も睡眠の質も良くなるわ、血液の循環も良くなるわ、姿勢が良くなるわと、ウォーキングはいいことづくめ。まあ、現代人はとりわけ歩かないですからね〜。ウーバーイーツもあるし。なんとなく僕自身、コロナ前よりもやや体のコンディションが良くない気がするのですが、通勤が減って歩く量が減ったことが関係していると睨んでいます。 よりみちを推奨する当ブログですので、歩くことは基本的には大好きです。ゴミゴミしたところにさえいかなければ、自由ですし、気分もいいし、休みたければすぐ休めるし、準備もいらないし、体にも良さそうだし。ランニングよりははるかにハードル低いですよね。走れない人はいるけど、歩けない人はそれよりだいぶ少ないはず。 あと、歩くことのいいところは、「すべての道はローマに通ず」を身体的に実感できることだと思うのです。5km先でも10km先でも、ちゃんと歩きで行けるんですよね。相応の時間と体力は必要ですが、乗り物じゃないといけないと思い込んでいた場所に、歩いて行けるんですよ。なんというか、自分たちが何を省略しているのかを、体感できる。そこには結構象徴的な意味があると思っていて。 つまり、今は便利なツールが様々あって、多くのものがどんどん省略されています。移動も、コミュニケーションも、ものづくりも、買い物も、ほとんど何もかもが、昔よりも短く早く簡単になっている。それは要求された進化であり全然構わないのですが、何が省略されたのか(場合によっては失われたのか)を知っておくのは、それなりに意味があるはず。お手軽に見えるものも、どこかで誰かが頑張ってくれてるからこそ、なんですよね。決して自分が偉くなった訳ではないとうこと。 と、それこそローマに辿り着けそうなくらいに飛躍しちゃいまし