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ラベル(映画の感想)が付いた投稿を表示しています

感想_エール!

新しい床屋さんに行ってみました。なかなか良かったので、また機会があれば利用したいと思います。 さて。映画『エール!』(2015年公開)を鑑賞しました。自分以外の家族全員が聾唖者である高校生のポーラ。ある日、音楽教師より歌の才能を認められ、パリの音楽学校受験を勧められるが、彼女なしの生活が考えられない家族は反対。ポーラ自身も家族を置いていくことに葛藤を抱えて…。 エール! : 作品情報 - 映画.com 『コーダ あいのうた』が観たくって、その原作にあたるこちらの作品がAmazon primeに入っていたので観ました。題材はとても繊細で、いくらでもエモーショナルにできそうなところを、ずいぶんカラっと仕立てていて、拍子抜けしたというのが率直な感想。高評価を聞いていたので、もっと深く心打たれると期待していたのですが。そして、そもそもポーラ、歌、上手いかな? あまり伝わりませんでした。 基本的にはコメディ路線で、明るい家族関係をベースに、酪農家の父が村長選に立候補したり、弟がセックスに夢中だったり、笑いの要素を前に出してきます(笑えるかどうかは別として)。お話はポーラ中心に進み、ハイライトの歌唱シーンでは音を消すことで、家族の目線が入ります。すなわち、音のない、娘の歌を聴くことの叶わない世界。 でも、このシーンも非常にサラッと描かれるため琴線を震わせるには至らなかったような印象。その後の父親がポーラの喉に手をあて歌唱を促すシーンも、演出らしいものはほとんどありません。ここは、聴こえることのない娘の歌を受け入れる場面だと思うけれど、ここまであっさりいくとは。もちろん、感情の変化を読み取れはするのですが、もう少し盛り上げても良かったような。 クライマックスの受験シーンも、先生が伴奏に飛び入りとか、そんなのアリかよ!って感じで、ツッコミどころのほうが多い一作でした。果たしてこれをどうリメイクしたのか、どっちにしても期待が高まったのですが。 ということで、『コーダ』を観た上でもう一度振り返ろうと思います。よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。 <3/15追記> ということで、 『コーダ あいのうた』もレビューさせていただきました 。 最大の違いは、主人公の「歌うことが好きだ」という気持ちが見えたかどうか、だったと思いました。『エール!』はそこがあまり描かれなかったよう

感想_映画ドラえもん のび太の小宇宙戦争2021

  本日、東京マラソン走ってきます! 頑張れオレ!! さて。『映画ドラえもん のび太の小宇宙戦争2021』鑑賞。のび太はある日、不思議な物体を拾う。中から現れたのは、宇宙のはるか彼方、惑星ピリカからやってきたと言うパピ。星を追われ逃げてきたという彼を助けるため、のび太たちは立ち上がる! オリジナルも観たことあるはずですがいかんせん30年以上前のことなのですっかり忘れて初見同然で楽しみました。そして今回至極まっとうな感性を発揮したスネ夫に感情移入。パピの「恐怖をどこかに追いやって自分にできることをやる。スネ夫さんの知恵と勇気がなければこうしていられなかった」という言葉にホロリ。 しかし時節柄、パピたち自由同盟とギルモア率いる反乱軍の戦いは、ウクライナとロシアを思い起こさずにはいられません。ギルモアが敷く強権による監視社会は、まさに現代を覆う脅威であり、力による現状変更はこの一週間で起きたこととあまりにもリンクして胸が痛い。 ドラえもん一行は正義の名のもとにギルモアたちをやっつけるわけですが、戦闘行為に対して何と言っていいかわかりません。救いは、敵は無人機による攻撃が主なので、撃墜しても血は流れないことかな。やっぱりスネ夫の「戦いたくなんてない。なんで僕達が戦わなくちゃいけないんだ」が、全市民の総意でなはず。だけど令和の今はもう、地球のどこにいてもこれは対岸の火事じゃない。 戦争という装置を除けば、スネ夫やしずかちゃんの勇気、星を超えて結ばれる友情、パピが体現した嘘をつかない真っ直ぐさは、確かに胸に届きます。パピの名演説はお見事ね。最後は、スモールライトの効果切れによる巨人化という力技でいろいろ豪快に解決しますが、そこはご愛嬌。 ということで、一緒に観た長男には、戦争は絶対ダメ!と伝えたのでした。エンドロール後に、次回作は2023春公開と発表されてました。情報はそれだけだったけどアニメーションの感じだと飛行機モノになるのかな? 楽しみにしたいと思います。次男も後ろに控えてることを考えると、あと6〜7年はドラえもんを劇場で観ることになりそう。 写真は前売りのムビチケと全プレの冊子ロコロココミックです。よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

感想_スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム

  LINEスタンプはスパイダーマン使用中の僕です。 さて、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019年公開)鑑賞。サノスとの戦いを経て、失われた人類が戻ってきた世界。ピーターはMJへの想いを告げようと考えていたが、旅行中のベニスで水のモンスターに襲われる。そこに現れたのはミステリオ。彼と、モンスターは、別の次元からやってきたという。さらに移動したプラハでも襲われ、ピーターは自らの不甲斐なさを痛感する。ピーターは、ミステリオこそトニー・スタークの遺志を継ぐに相応しいと、彼に託されたサングラスを渡すが、ミステリオの正体は…。 前作『ホームカミング』 に続くトム・ホランド版第2弾! 何と言っても見所は、ヨーロッパのハイライトを巡るようなロケーション。ベニスに始まり、プラハ、ベルリン、オランダをちょろっとかすめてロンドンへ。各都市でスパイダーマンが躍動するのが楽しい! が、ロンドンはもうちょっと観たかったかもね〜。 そして対するヴィランはミステリオ。フェイクにフェイクを重ねたその戦いはスピード感とテック感があって、いかにも今っぽい仕上げ。ピーターと一緒にコロリと騙されちゃったよ。ミステリオ自体が特別な能力を持っているわけではないけど、テクノロジーだけでスパイダーマンを追い込むのも現代的。ドローン、AI、VR、などなど最新兵器、恐ろしいぜ。 ミステリオの残した「人は信じたいものを信じる。今の時代、なんだって信じる」という言葉は極めてタイムリー。フェイクニュースに揺れ、ポピュリズムがはびこり、分断を煽った大統領への当て付けであり、紛れもない真実であり。エンドロール後のシーンがまさにそれ。ディープフェイクで、なんだって捏造できてしまう恐怖。簡単に騙される大衆。ファクトチェック超大事。 さて。あどけなさの残るトム・ホランドだけど、体つきがマッチョになってきてヒーローのそれに進化中。ちょっと高めの声もスパイダーマンにぴったり。今思えば初代のトビー・マグワイアも結構似合ってたけど、アンドリュー・ガーフィールドはスマート過ぎたかもね。ホランドは、スタークのサングラスが最初はあんなに間抜けに見えていたのに、戦いの後には案外似合うじゃんて思わせるんだから、お見事。クライマックス前のスーツをアレンジする姿はスタークにダブるところがあって、理系で聡明という設定がしっかりハマってました

感想_スパイダーマン:ホームカミング

ドクター・ストレンジも、ブラックパンサーも未見な僕です。観たいぜ。 さて。『スパイダーマン:ホームカミング』(2017年公開)鑑賞。アベンジャーズに参加して有頂天のスパイダーマンことピーターだったが、トニー・スタークはアベンジャーズへの加入は認めず、大人しくしているよう釘を刺す。しかし彼らに認められたいスパイダーマンは、超常的な武器を扱う集団を見つけ、一人で彼らを罰しようと動き出す。彼らはアベンジャーズの戦いの残骸を利用して武器の密造販売を行っていた。 映画『スパイダーマン:ホームカミング』 | オフィシャルサイト| ブルーレイ&DVD&ULTRA HD発売 新作を劇場に観に行きたいけどまずはシリーズ一作目から観ないとね! トム・ホランドによって再びリブートされたスパイダーマン。今までで一番役にはまっている気がしたよ。純粋で、お調子者で、でも頑張りやで。 何と言ってもスパイダームーブの華麗なる超絶映像を堪能。作品内で徐々にスケールアップするアクションは毎度楽しくて、しかし郊外だといまいち威力を発揮できないスパイダーマンてのは良かったですね。からのワシントンDCでは尋常じゃない高さを、真っ二つに割れるフェリーでは海の上を、そしてクライマックスでは空の上と、フィールドを変えながら極限状態でのウェブシュートを楽しませてくれました。 ヴィラン役はバードマンことマイケル・キートンで、まさかの翼男(パルチャー)とはシャレが効いてる〜! 特殊兵器でのバトルだったので、マーベルの中ではやや地味な部類だったかもしれないけど、その分ドラマがありました。すなわち格差問題。パルチャーはある意味で被害者だったわけで、それを知ったスパイダーマンが、NYにとどまることを選んだのは重みがありました。 と言いつつ、次回作の舞台はロンドン×スパイダーマンとか楽しみすぐる! なんとかしてノーウェイホームが劇場公開しているうちに観て臨みたいと心に誓うのでした。そうそう、ゼンデイヤの出番は少なかったけどたいそう魅力的でしたね。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

感想_スパイダーマン:スパイダーバース

ラグビーの新リーグ、「リーグワン」開幕しましたね。楽しみだ! さて。映画『スパイダーマン:スパイダーバース』(2019年公開)鑑賞。中学生のマイルスはある日突然変異したクモに噛まれ、特殊な能力を得るが、それをうまく使いこなせず混乱する。そんな最中、目の前でスパイダーマンが死に、開かれた異次元の扉から続々とスパイダーマンたちが登場。キングピンの野望を阻止し、スパイダーマンたちは元の世界へ帰れるのか。そしてマイルスの運命は!? いよいよ新作も公開中のスパイダーマンですが、初のアニメーション作品でアカデミーも受賞したこちらを鑑賞。面白かったです。あらためてスパイダーマンのアクションてカッコいいよね。単に空を飛ぶよりはるかにワクワクするよ。シャレも効いてるしね。そしてスパイダーマンたちが総勢6人も登場! アベンジャーズ的なオールスターよりもスパイダーアクションの多重奏のほうが燃える気がするわ。 お話としては、大切な人を失いつつも一歩踏み出して成長するという、王道のスパイダーマン誕生もの。主人公が黒人だからか、スーツも黒基調で超絶クール! エアジョーダンもお似合いだし。その他、中年のピーターにスパイダー・グウェン、もろ日本インスパイアのロボに、ノワールにハムと、全スパイダーマンが単体で主役はれそうな立ちっぷり。 「BOMB!」とか「NO NO NO NO」とかのセリフをコミックさながらに織り込んだり、アニメーションのスペクタクルも十分(と同時に、ほぼこの世界を実写で成立させてるハリウッド&最新VFXって異常だなとも思ったり)。この作品を実写化しても面白そうだなと思ったり。まあとにかく、ユニバース入り乱れて楽しすぎます。そういえば次元転移装置は、『ベイマックス』ぽかったな。 10月には続編も公開するっていうし、実写の3部作もチェックしないといけません。ますますスパイダーマンが好きになる一作で、誰でも楽しめるアクションエンタメ。うちの6歳児も楽しんでたよ。そしてどうでもいいけど、スパイダーマンのLINEスタンプを愛用しています。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

感想_キングスマン:ファースト・エージェント

 12/30木曜日おはようございます。映画監督ジャン・マルク・ヴァレの訃報が悲しすぎます。『ダラス・バイヤーズクラブ』はマスターピース。 さて。映画『キングスマン:ファースト・エージェント』(2021年公開)鑑賞。1914年、謎の組織により世界を巻き込んだ戦争が計画される。かつて紛争により妻を亡くしているオックスフォード公は、この計画を止めるべく動き出すが、待っていたのは悲劇だった。ヒットシリーズの3作目は、キングスマン誕生の物語! 前2作はスタイリッシュでスノッブなところが最高でしたが、今作はそのノリももちろんありつつ、反戦という、より重厚なメッセージも持った作りで、これはこれで大満足。 前半の見せ場は実在の悪僧ラスプーチンとのダンス要素を取り込んだアクション。ラスプーチンの気色悪さとロシアの伝統的ダンスのムーブとクラシック音楽というトリッキーなアンサンブルが完成してて、ここはキングスマンの真骨頂。3人がかりで倒せないんだから実質最強だったという。てか、なんでオックスフォードの脚治ったんだ?w 息子コンラッドの純粋さと戦地での活躍が華々しかったがゆえに皮肉な結末に胸が締め付けられ、その悲劇を二度と繰り返さないためのキングスマン誕生のエピソードはお見事。やさぐれたオックスフォード公、こう言うのも変だけどカッコ良かったぜ。レイフ・ファインズて上品すぎるんだよなと思ってたけどそれをいい意味で裏切ってくれた気が。中盤がシリアスなので、キングスマンらしくはなく、その辺りがどう受け取られるのかは気になるところ。僕はアリです。 最終盤は再びのキングスマンらしさ満載。キレのあるアクションに生首どすんのトラウマカットあり。ラストの黒幕が小物だったのが玉に瑕ながら、キラーワードの "Manners maketh man."も登場したし、剣視点の映像やシルエットで見せるカットも秀逸でキメるところはちゃんと流儀を通してくれてて嬉しいです。パラシュート落下失敗からのありえない崖登りは笑ったぜ。 アーサー王と円卓の騎士をコードネームとする理由もしっかり描かれて、いい着地だったと思います。ただ一つ、やっぱりエグジーとハリーが見たかったよな、というのは言いっこなしですかね。 ということで、ぜひ前2作予習の上ご覧いただきたいキングスマン。さらなる続編があるのかは知りません

感想_仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ

12/21火 曜日おはようございます。寒空の下大道芸見てきました。何回見ても楽しい。 さて。よりみちシネマ第 24 回『仮面ライダー   ビヨンド・ジェネレーションズ』鑑賞。2071年、世界は悪魔ディアブロに支配されていた。命からがら逃げてきた青年、百田は謎の男と出会い、彼の作ったマシンで過去に戻るよう指示を受ける。そこは2021年、ディアブロの封印がまさに解かれたところだった。世界の危機に立ち向かうべく仮面ライダーリバイスら歴代ライダー達が立ち上がる中、百田が仮面ライダー センチュリーとして現れて…。 いやーかなり楽しみました。劇場は大人が7割、子連れが3割くらいでしたでしょうか。予想以上に大人がいることに、ライダーの底力を感じました。これ、仮面ライダー50周年記念映画だけあって、ここ最近のライダー達が大集合のオールスター。しかも未来から来るのは中尾明慶さんだし(時をかける仮面ライダー!)、その息子を演じるのは古田新太さんだし、この二人が並んで本気で「ヘン、シンッ!」ってやるのは胸熱というか、楽しすぎて笑ったよね、最高かよ! あとライダー1号も登場です。THE記念イヤー! 最近のライダーは装備モリモリで武器も様々ながら、基本は接近戦。CGでエフェクトかけまくってるのが、それなりにスペクタクルで興奮しましたよ。もちろんマーベルなどには比べようもないですが、これはこれでアリだなあと思いました。 ライダーシリーズは子供の頃にちょっと見ていた程度の僕ですが、それでも血湧き肉躍るんだから、仮面ライダーすげー。ショッカーとかとの因縁もうっすら知識あるしね。最後の決戦ではライダーパンチで最強ディアブロの鉄壁バリアを打ち破り、フィナーレはライダーキック四重奏で粉砕という原点回帰、歴史へのリスペクトを感じるフィニッシュでした。 なんていうか…エンターテインメントってすごい!と無性に感動しましたわ。僕は映画好きとして、息子はヒーロー好きとして、それぞれの楽しみが、世代を超えて交差した瞬間。そしてこれが2023年公開の「シン・仮面ライダー」(庵野監督作!)につながるとか楽しみしかないから! 「シン・ウルトラマン」は来年5月で公開日も決まったし、未来は明るいぞ! そりゃあ大道芸も輪をかけて楽しいってもんです。彼らもまたストリートのヒーローであり、エンターテイナー。 よりみちしながら、いき

感想_すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ

  11/28日曜日おはようございます。日本シリーズ終わっちゃいましたね。もう一度宮城を観たかったです。 さて。よりみちシネマ第23回。『すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ』(2021年)鑑賞。5年に一度の青くて大きな満月の夜に、まほうの国のコたちが、すみっコたちの国にやってくる。 大人も子供も大好きなすみっコぐらしの劇場版、かわいくてほっこり。「夢があるからがんばれる」という素直なメッセージがやさしく、温かく届きます。最小限のナレーションと、ささやかなユーモアで、これができるのスゴイ。 いやもう、イチにも二にもかわいいですよねー。すみっコたちは安定のかわいさで、今回はとかげにフィーチャー。そして「すみっしー」とか最高じゃん!と萌えるわけです。魔法のコたちももちろんかわいいわけで。 他愛ないといえば他愛ないですが、これをきっかけに子供たちが映画好きになったらいいなーと。僕が映画に目覚めたのは20代の後わりで、もっと早く好きになっていたら、もっともっとたくさん映画を観れていたのになと思ったりもするものですから。 たくさん観ればいいというものではないですが、映画っていう面白いものがあるよってことは、教えてあげられたらと思うのでした。そして劇場にいると観たい映画が増えるあるある。僕は『エターナルズ』と『コーダ あいのうた』で、息子は『仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

感想_ノマドランド

  シン・ゴジラに続いて『シン・ウルトラマン』来るとは!! さらには『シン・仮面ライダー』まで待機中だと!!! さて。映画『ノマドランド』鑑賞。夫を亡くし、リーマンショックで家と仕事を失ったファーンは、バンで暮らしながら季節労働を繰り返す現代のノマドになる。各地で出会うノマドたちと、彼女が見た風景とは。本年度アカデミー賞作品賞受賞作品。 「美しい映画だ」が最初の感想で、とてもよい映画でした。アメリカ西部のスケールの大きな風景がとにかく美しく、重なる音楽も心地よく、淡々とした内容なのに退屈させることなくまとめたクロエ・ジャオ監督、カメラと編集のセンスがものすごい気が。 あの風景と、Amazonの巨大な物流センターを並べるのは皮肉ではなく、変化の象徴だったのだと思います。実物大の恐竜もまた、変化のメタファーでしょうか。恐竜からGAFAへと、すべては移ろっていくものである。すべてはこの地球で起きていること。 ファーンは望んでノマドになったわけではないけれど、ほかのノマドたちとの交流を経て、そのしがらみのなさや、それぞれなりの人生を謳歌する姿の中で、ひとつの生き方として現状を受け入れていくように映ります。 家族があり、おそらく能力もある彼女は、定住して新しい職を得ることもできたのではないかと思いますが、そうではない道を選んだ。喪失から始まった旅は、いつしか再生の旅へと変わっていく。その自然な成り行きがまた美しい。経済システムや、都市生活を悪者にして対比させるわけでもないところがまた、いいのです。不安定かもしれないけれど、決して不幸なわけではない。 それを決めるのは社会でも他人でもなく、自分自身であること。大地と、そして他者と、適切な距離(それは一人一人違う)でつながって、私たちは生きていく。その見失いがちな普遍を、やさしく提示するロードムービーでした。もっと地球とコネクトして暮らすべきだよな、と思わされました。 監督の次回作がマーベルの超大作というのがいかにもハリウッド的。こちらも楽しみでございます。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

感想_天気の子

  『天気の子』(2019年公開)鑑賞。異常気象で雨が降り続ける東京に、神津島から家出してきた16歳の帆高。ある日知り合った陽菜というもうすぐ18歳の子は、祈るだけで晴天をもたらす不思議な力を持っていた。ふたりは、その能力を仕事にしはじめて。 前作『君の名は。』がとても面白かったので期待もありつつ、世の評判はけっこう割れていたようで、とても楽しみでした。そして、すっごく楽しめました。 ハリウッドリメイク意識か!?(してほしい!)というくらいのディザスター感、チェイスアクション、そしてジブリなみのファンタジーで、やりすぎ感すらあったと思いますが、やはり真骨頂はジャパニーズ青春エンタテイメント。美しいアニメーション、花火大会の奥行きとかすごいですね。実写にするならぜひ3Dで観たい。 いろんなポイントがあったと思いますが、いちばん感じたのはイノセンスを問われるなぁということ。「君の名は。」以上に、ふたりの主人公の関係に力点が置かれていて、ファンタジーでありながらも真っ直ぐな感情の動きに、思わず涙ぐみました。この真っ直ぐさを受け入れられるか、言い換えると「きれいなものをどこまで信じていられるか」で評価が割れそうな気がしました。 知らぬ間に陽菜を損ない続けていた帆高の自責の念はどれほどだったか。それを思うと、山手線の線路内を走る非現実的にも見えるあのシーンは「ありえない」ほどの想いをちゃんと表現してくれたシークエンスだと感じました。 雨が降り続いた東京は、どこかコロナと共生する今の自分が重なります。どんな苦難があってもそれでも僕たちはそこで生きていくし、物語は続いていく。もちろん去年の段階でそんなことを考えていたはずはなく、それだけ本質をとらえていたということでもあると思います。 天気や生死、運命など、世界にはどうにもならないことがたくさんあるけど、その中でそれぞれに役割を探しながら生きている。大事なのは、ちっぽけな僕たちでも、確かに世界のカタチを変えうる瞬間というのはあるんだということ。須賀のいうとおりそれはただの自惚れ、思い込みかもしれないとしても。 追っ手を振り切って屋上を目指す帆高に、須賀は逃げるなと言った。帆高にとって

感想_ラースとその彼女

1/7火曜日おはようございます。元映画ページ担当だった僕です。 今日はお気に入り映画をご紹介。2008年公開の『ラースと、その彼女』。雪降る街のハートフルストーリーです。 コミュ障のラースがガールフレンドとして連れてきたビアンカは、まさかのラブドール。ついにラースが壊れたと、兄夫婦も同僚も町の人も眉をひそめながら、それでも彼らはラースとビアンカを見守っていく、というお話。 トリッキーな設定に、善人しか出てこないある種のファンタジー的な内容ですが、隣人愛や家族愛に満ちあふれ、人が人を思いやるコミュニティの良さを改めて教えてくれます。表面からはわからない人それぞれの苦悩、誰もが懸命にもがきながら生きていること、その周りにある目に見えない優しさを、静かに、ユーモラスに、何より温かく届けてくれる作品。 損得勘定や、コスパが幅を利かせがちな今こそ、人はただただ優しくあれるんだ、てことを再確認できる1本です。脇役にもちゃんと奥行きが見える良脚本。 主演のライアン・ゴズリング(超好き)がこのイロモノキャラに見事になりきってるし、冬の田舎町の雪景色やスキーニットなどの冬小物がかわいいのもポイント。音楽も優しくて、今の季節にぴったりです。公開当時、試写で拝見して感動し、公開後劇場にも足を運び、それからDVDで観て。2020年に見直してもその良さは色褪せていませんでした。名作。 こういう単館系の派手さはないけど素敵な映画ってなかなか出会う機会もないので、お気に入りを見直してご紹介するシリーズにしてみます。よりみちシネマ。 今年の東京は、雪、降らないですかね? いい1日を。