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感想_ノマドランド

 

シン・ゴジラに続いて『シン・ウルトラマン』来るとは!! さらには『シン・仮面ライダー』まで待機中だと!!!

さて。映画『ノマドランド』鑑賞。夫を亡くし、リーマンショックで家と仕事を失ったファーンは、バンで暮らしながら季節労働を繰り返す現代のノマドになる。各地で出会うノマドたちと、彼女が見た風景とは。本年度アカデミー賞作品賞受賞作品。

「美しい映画だ」が最初の感想で、とてもよい映画でした。アメリカ西部のスケールの大きな風景がとにかく美しく、重なる音楽も心地よく、淡々とした内容なのに退屈させることなくまとめたクロエ・ジャオ監督、カメラと編集のセンスがものすごい気が。

あの風景と、Amazonの巨大な物流センターを並べるのは皮肉ではなく、変化の象徴だったのだと思います。実物大の恐竜もまた、変化のメタファーでしょうか。恐竜からGAFAへと、すべては移ろっていくものである。すべてはこの地球で起きていること。

ファーンは望んでノマドになったわけではないけれど、ほかのノマドたちとの交流を経て、そのしがらみのなさや、それぞれなりの人生を謳歌する姿の中で、ひとつの生き方として現状を受け入れていくように映ります。

家族があり、おそらく能力もある彼女は、定住して新しい職を得ることもできたのではないかと思いますが、そうではない道を選んだ。喪失から始まった旅は、いつしか再生の旅へと変わっていく。その自然な成り行きがまた美しい。経済システムや、都市生活を悪者にして対比させるわけでもないところがまた、いいのです。不安定かもしれないけれど、決して不幸なわけではない。

それを決めるのは社会でも他人でもなく、自分自身であること。大地と、そして他者と、適切な距離(それは一人一人違う)でつながって、私たちは生きていく。その見失いがちな普遍を、やさしく提示するロードムービーでした。もっと地球とコネクトして暮らすべきだよな、と思わされました。

監督の次回作がマーベルの超大作というのがいかにもハリウッド的。こちらも楽しみでございます。

よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

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