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感想_ケイコ 目を澄ませて

初詣でおみくじ大吉引いた僕です。やったぜ! さて。映画『ケイコ 目を澄ませて』(2022年公開)鑑賞。生まれつき両耳が聞こえないケイコはプロボクサーとしてデビューし勝利をおさめる。次の試合に向けて準備を始めるものの、その心にはボクシングを続けることへの迷いが生じていた。日々の仕事、家族との距離、ジムの仲間との関係。迷いながらも日々は流れて…。 批評家筋から激賞されているというこちら、とても良さそう!と思い立って観に行ってまいりました。なるほど、玄人好みで万人受けするタイプではないと思いますが、とても良質な映画でした。聾唖、女性、ボクシングというキーワードはあるものの、ケイコはスーパーヒーローではありません。傷つき、葛藤し、迷いもがきながら、進む。その姿を安易に語ることなく炙り出していきます。 冒頭、ジムの音が重なり合っていく演出が秀逸で、縄跳びの音、ミットを叩く音、マシンの音、それらが一つずつ重なりあって協奏曲のようになっていきます。さらには街のノイズ、電車の通過音などと合わさって、街全体のざわめきになっていく。 もちろん、ケイコはそれらが届かない世界を生きているのですが、それを露骨には意識させないところがニクイですね。手話も当然出てくるけど、安易にケイコの内面は語られません。だから、想像する。彼女は何を考えているのか。なぜボクシングをしているのか。答えもないし、ヒントも特になかったと思う。だから、無限に想像できてしまう。というか想像するしかない。 途中、ジムのコーチたちが、煮え切らないケイコに苛立ちを見せるシーンが。真面目にトレーニングしていたケイコが知らぬ間に期待していたコーチたちだけど、そこには温度差があった。ケイコ自身にも答えはないディスコミュニケーション。誰も間違ってないのにすれ違っちゃうことってあるんだ。 視力を失いつつある会長と、閉鎖されてしまうジム、少しずつ居場所をなくしていく雑多でノイズだらけの下町の風景。それはセンチメンタルではあるけれど、聴力を持たないケイコは戦えているのだから、何が「ある」で何が「ない」のかの線引きがぼんやりしてくるんですよね。 そんな中で、ケイコの弟の何気ないやさしさと、その恋人(?)のささやかな歩み寄りが心地よくて、3人でボクシングしてダンスするシーンの清々しさよ。それからケイコの対戦相手との偶然のすれ違いもまた示唆に富む

感想_THE FIRST SLAMDUNK

何度か言ってますがスラムダンクの中では宮城リョータ好きな僕です。 さて。映画『THE FIRST SLAMDUNK』(2022年公開)鑑賞。言うまでもない国民的コミックのアニメ映画化で大ヒット中、原作・脚本・監督は井上雄彦先生。周囲の評判も良くてこれは原作ファン(完全版を何度も読み返しているくらいにはファン)として見ないわけにはいかない気持ちになりました。 率直な感想を申し上げると、スラムダンクとして鉄板の面白さだけど、映画としては特段面白いものではない、でした(お好きな方には申し訳ありませんが)。 山王戦の破壊力はやはり凄くて、背中を痛めた桜木が一度下げられるもまた出ていくところで涙が溢れました。だけどそれは原作で震えたもの以上ではなかったんだよな。むしろ原作にはもっともっと見所があったけど、それはスポイルされてしまったとも思います。「断固桜木」とかカットされてしまったセリフもけっこうあったしね。もちろん仕方がないことでしょうが。 漫画だからよかったタメや、台詞の重み、見開きコマの迫力などが、うまくアニメーション化されていなかったようにも感じました。これも尺の問題なのかなー。最後の沢北の逆転シュートから花道の再逆転シュートまでの演出はカッコよかったけれど。 オリジナルの絵の世界をそのまま使えたのはいいことだと思うものの、個人的にはそこから離れたとしてもより演出性を高めた世界を観たかったようにも思います(どんなのと言われたら困るんですが、新海誠系? あるいはスパイダーバースのやつ??)。動きは滑らかだけど作画が平面的すぎるのがもったいなかったような。漫画にはないちょっとした予備動作とかが描かれているのはよかったけど。 映画オリジナルのストーリーとして、宮城リョータの背景が描かれていましたが、これも個人的にはしっくり来ず。原作の宮城のキャラとブレてるように感じましたし(別バースと考えるべき?)、お母さんの悲しみはわかるけどもうちょっとリョータとのコミュニケーションあってもよかったような。海に息子を奪われその痛みに苛まれてもなお海のある街に住むのもやや疑問(種々の事情があるんでしょうが)。あとリョータ、小さい頃から足は速かったんじゃないのかな〜とか。リストバンド2個着けは原作からでしたっけ?(原作でも着けてました) これらの過去エピソードが合間合間に入るので、試合への没

横浜ステイケーション記2023(後編)

今年の箱根も楽しませてもらいました。青学の登場以来全体のレベルがずいぶん上がった気がします。東京オリンピック選考で世界に目が向いたのも大きいのかな。 さて。横浜ステイケーションの続きです。夕飯は中華街に行くことにしました。お正月の中華街ってどんな感じなんだろう?と思いましたが、それはそれは賑わってました! そもそもお店の予約が全然取れず一部のお店から「当日席があるので20〜30分待ちで入れると思います」と言われて半信半疑で向かった17:30、すごい人出だったので絶望的な気持ちで状元樓行ったらなんとか入れてよかったです。久しぶりに味わう本格中華、美味しうございました。 その後は海沿いエリアで行われているイルミネーションイベントの「ヨルノヨ」を鑑賞しましたがこれも楽しかった。毎年クリスマス時期から年明けまでやっているものですが、山下公園は芝生にプロジェクションマッピングが。映像の内容はわかりにくいけど写真に撮るとやたらとフォトジェニック。数年ぶりに営業再開したマリンタワーもライトアップ! さらに大さん橋方面を目指すとおなじみのランドマークやコスモクロックの夜景がまたたき、大さん橋の上もピッカピカにライトアップ。おまけに飛鳥2号も停泊中でお出迎え。度々出てくるポータルなる六角形をくぐると音と光で盛り上げてくれ、メイン会場的な新港中央広場は輝くドームほかイルミネーション乱れ打ちで最高潮に。 近隣住民ながら意外と夜に出歩くこともなかったのですが、今回宿泊きっかけで夜散歩と洒落込んでみて、改めて横浜の夜景はよいものだなと再確認。マークイズの前もいい感じですし。この、近いけどなかなかやらないことができる、いつもと違った角度で街と触れ合えるのもステイケーションの良いところ。 ぜひみなさんもそれぞれのお膝元で楽しんでみてくださいね。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

横浜ステイケーション記2023(前編)

立教が箱根出てるじゃん! がんばれ〜! さて。横浜暮らしですがお正月をステイケーション(近場宿泊的休暇のこと)することにしました。実家が引っ越しゴタゴタで集まれないための代替案で去年できたばかりのウェスティン横浜へ。旅行ではないお正月ホテルステイなんて初体験。 フロントは23Fでここが最上階だったようです。22Fがクラブフロア、13〜21Fが客室、ほか低層階にレストランにプールにスパなどなど。15時のチェックインにあわせて行きましたがまあまあのフロント混雑で、お正月からけっこう人がいるもんなんだなぁと感心。そもそも予約時点で何個か見た横浜ホテル満室ぽかったしね。 お部屋は横浜美術館側&マークイズが見える13Fでその先に1mmくらい海が見えました。この年末年始の横浜はずーっと天気が良くて気持ちいいですね。この日もいい感じの夕暮れからマジックアワー、翌朝も清々しかったです。お部屋はさすがに優雅&機能的。こだわりベッドも快適そのものでした。 朝食ブッフェも上質なラインナップで和洋満遍なくハイクオリティ。エッグベネディクトも提供されてたのはテンションあがりました。あとマリオット会員になっていると、子供に無料アイスと無料朝食をサービスしていただけました。宿泊費もちょっとだけお得。 ご近所ながら非日常を味わえるステイケーションはやっぱりいいものです。2023年はヒルトンに三井ガーデンホテルもできるようなので(そんなに室数増えて大丈夫なのか横浜!?)、次はそのあたり狙おうかな。ハイアットリージェンシーにも泊まりたいのでした。続く。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

2023年のご挨拶と抱負。

ハッピー・ウー・イヤー。あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします(ウーは、兎ーです(ダジャレ))。 さて。1年の始まりなので抱負的なものを書きたいと考えていましたが、ちょうど年末に写真の本『おおきな木』を購入しました。1964年にアメリカで出版され日本でも読み継がれてきたロングセラーですが、2010年に村上春樹さんによる新訳となったそうです。 原題は『THE GIVING TREE』。与える木、ですね。そのタイトル通り、1本の木がその実を、枝を、幹を、ひとりの少年の生涯にわたって差し出すお話です。かなりほろ苦い後味ですが、示唆に富んでいるとも言えます。よろしければ手にとってみてください(作品としてはもちろん、村上さんの後書きだけでも買う価値がある、と言ったら作者に怒られてしまいそうですが)。長男にプレゼントと思っていますがどう受け止めるのか気になるところ。 きれいごとになり過ぎてしまうのですが、自分もこんなふうに与えられる人でありたいと思うのでした。これまでを振り返れば、損したくない得したい、と思って利己的に生きてきた方だと思います。損得勘定で動いたことは数知れず。でもいい歳してそういうのもあんまり品のいい話ではないよなとも(ようやく)思うわけで。 自分が主役にはなれないとしても、ならば周りの人の手助けになれるように。多少なりとも経験値があるのだとしたら、出し惜しみせず誰かに役立ててもらえるように。個人よりもチームで、組織で、幸運をつかめるように。なんとなくそんな1年にできるよう頑張ってみようと思います。 やっぱり綺麗事すぎるし、そんなにすぐには変われないと思うのですが、ひとつでもふたつでも、利他的な行動を増やすことを目標にしていきたいと思います宣言。家族にも同僚にも世の中にも。 あとは、しっかり体を動かすこと(目標は秋のNYCマラソン)、このブログは年間300ポストを目指しつつ(難しいかな?)、家族の健康管理に気を配って、楽しい毎日を過ごしたいと思います。 あいも変わらず、よりみちしながらいきましょう。今年も、いい1年を。

海賊たちの大晦日。

大掃除も年賀状も越年確定でございます。すみません。 さて。今年を締めくくるべくやってきたのは横浜国際プール。B.LEAGUEの横浜ビーコルセアーズvs群馬クレインサンダーズの一戦を観にきました。こちら親子企画でチケットがペア1500円だったため。 14:05ティップオフだったのをなんか15:05と勘違いして(前日の試合が15:05だったから)いたことに気付いたのは13:30。げ! 慌てて家を飛び出して到着したら2Q残り6分でした(トホホ)。長男にものすごくガッカリされました(本当にごめん)。 昨日時点でビーコルはリーグ8位、群馬は9位、昨日の試合はビーコルの勝利で迎えたのですがこの日は2桁のビハインドという展開。エース河村を中心に組み立てるも3Pが全然入らないビーコル、FTも落としまくって、ディフェンス頑張ってもなかなか点差が縮まらず15点前後のビハインドのまま最終Qへ。 立ち上がりからディフェンス仕掛けてようやく流れをつかみかけるも、これが入ればというオープンな3Pが最後まで決まらずタイムアップ。残念ながら負けてしまいました。群馬って全然知らなかったけど並里に五十嵐圭、八村亜蓮などがいるんでな。 入場者数は4200人くらいで見た感じは9割方埋まってましたかね。周囲はもちろん親子連ればかり。DJは「海賊大晦日!」と連呼しまくってて抽選会などの企画も。前に観に来たのは2019年だったかな? そのころよりもチームのウェアを身につけたお客さんが格段に増えていて、しっかり浸透しているんだなぁと。 改めて、プロスポーツが近所でいろいろ見られる横浜って素敵。東京もたくさんチームあるけど横浜の方がおらが町感ある気がします。野球にサッカー、バスケにラグビー。次はサッカー、春になったら野球だなと長男と話した帰り道「次は開始時間間違えないでね」と釘を刺されたのでした。承知です! よりみちしながら、いきましょう。1年間ありがとうございました。よいお年をお迎えくださいませ。

下田よりみち記その2。ロープウェイと黒船とサフィール。

ペレとヴィヴィアン・ウエストウッドと磯崎新が亡くなるとはなんて日でしょう。 さて。下田旅行2日目。ホテルで朝食後お庭散歩。プールもあり海岸にも繋がってて夏に来たい感じ。海キレイだな。というか下田、ペリーさん以外にこれという観光資源もないけどホテルがそれなりにあるのは海水浴にいいからか。次は夏こよう。 下田駅からロープウェイが出てるというのでそれに乗車。寝姿山というとこまで3分の空中散歩。ここは黒船来航時に見張所になったとかで大砲のレプリカもありました。というだけあって下田湾を一望できて気持ちよかったです。謎に金の鯉と銀の鯉がいたし。 ところで山頂のカフェが洒落てて、ロープウェイの車体も洒落てると思ったらこれ、伊豆急と東急がやってるロイヤルエクスプレスってやつでした。そう言えば横浜駅にもあったな。次はそれに乗って来よう! お昼を食べて今度は黒船を模した遊覧船で下田クルーズに。20分程度のものですが、カモメの餌やりに夢中になってる間に終了。クルーズというより餌付けでした。でも天気も良かったし楽しかったよ。船着場が道の駅なので休憩しつつお土産を眺めるのも良かったね。 てことで帰路は噂のサフィール踊り子に乗車。めちゃくちゃ快適でした。広いシートにレッグレストつき、シートピッチもかなりあるビジネスクラス並みのホスピタリティ。なんて贅沢な時間でしょう。こういう特別な電車の旅、確かに魅力的だな。 子供がいなければもう少しお店巡りなんかも楽しみたかったですが、それはまた今度。釣りにも良さそうですね。松崎町にも行ってみたかったんだよな。なまこ壁。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

下田よりみち記その1。踊り子で海中水族館へ。

ぐちゃぐちゃな12月でしたがとりあえず仕事納めました。 さて。ということで下田に遊びに行くことに。横浜から踊り子7号に乗り込んで出発です。満席だそうでしたが、熱海、伊東あたりでごっそり減りました。子供たちは乗車1時間ほどで飽きて疲れ始めてましたが、小田原以降の車窓からの海はいいよね、こんなに天気がいいとことさらに。富士山もキレイかった。 目指したのは下田海中水族館。20年くらい前に男4人で遊びにきたような気もしますがほぼ記憶はありませんでした。入り口前からウミガメ至近距離で見られて驚きましたが、あらゆる生き物が近い! 規模はかなり小さいですが、入江に作られてて水族館というより海そのもの。展示も半分くらい屋外で、動物園ぽいな。そして体験とショーがやたら多くて、それに合わせてお客さんが右は左へ移動するスタイル。小さいからかそんなに混んでるわけでもなく穏やかだ。海風が冷たかったけれど。 イルカのフィーディングは餌やりのみならず、ジャンプや鳴き声を促すサインを教えてもらえるし、アザラシにもコツメカワウソにもサクッと餌やりできるし、本当に生き物との距離が近いのでした。もちろんいちいち有料だけど貴重な体験ですよね。 わざわざ行くほどのものじゃないんですが、でもわざわざ行ってもそれなりに楽しい地方の動物園水族館は、やっぱりのどかでいいわ。閉館時間までしっかり遊んで下田東急ホテルにチェックイン。穏やかに夜は更けていくのでした。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

パークラブ2022冬。

日本の雪もすごいがアメリカの寒波も尋常ではなさそうですね…。 さて。横浜は岸根公園をお散歩しました。広い芝生広場があって、大きな遊具(忍者砦)があって、ちょっとした池があって、スモール代々木公園みたいな感じですかね。遊具があるから子供向き。実際たくさんの子連れファミリーと、ジョガーなどがいました。バスケットゴールもあるよ。 陽射しも温かくポカポカ陽気。ベンチでのびりするのも気持ちよく、なにやら歌い続ける青年や、楽器の練習するおじさんもいたな。公園のこういう自由な雰囲気はとても好き。パークラブ。 ところで、コロナの影響で小中学生のスポーツテストの結果が著しく低下しているそう。まあ、やむを得ないよなぁと思いますし、でもそのままってわけにもいかないから、ここからのリカバリーが大事なのかなと。で、子供だけじゃなくて大人も負けず劣らず体力落としていそうだよなと思うのでした(自分もその一人)。データが取れるのかわからないけど、運動不足からくるネガティブなこと、たくさんあるような気が。 好き嫌いはあるにしてもやっぱり体は定期的に動かさないといけないよなと。せっかく気持ちのいい公園もあるのだから。旅行割もいいけれど、運動したらいいことあるような健康割もあってもいいんじゃないですかねーとか思いました。どうやってやるねんて話ですけど。 公園は素晴らしい。よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

感想_ガチボーイ

昔チャットモンチーのライブ行ったなーと思い出した夜。 さて。『ガチボーイ』(2008年公開)鑑賞。プロレス同好会に入部した五十嵐は愛想のいい好青年だけど、メモと写真魔で、何だか覚えも悪いぞ? しかしマリリン仮面のリングネームで迎えた初戦はその必死さが観客に大ウケする。実は五十嵐にはある秘密があるのだった。 公開当時に試写で見てかなり胸熱涙したこちら。でも世間の評価はさほどでもなくてあれオレだけ?て思ってたので確認のためにも再鑑賞しました。 うん、確かに当時の自分は感情移入しすぎてたなとちょっと反省。コテコテのギャグはあえてとしてもやや寒いし(と言いつつ何度か笑った)、泣かせるあざといシーンも目につくし、いろいろ都合が良すぎる展開もある。いくら何でも最後の試合ああはならないだろうと。 でも、それは多分作り手もぜーんぶわかってて、もろもろひっくるめてのプロレス、すなわち興行・エンタメ・段取り・お約束ってことなんだなと思いました。プロレスへのリスペクトというべきなのかも。リアルに寄せるのではなく、この話はこういう形でよかったんじゃないでしょうか。お客さんも仕込みとわかってる、その前提で楽しむ新喜劇方式。原作も舞台だしね、その良さを生かす方向だったのかなとか。 その上で、やっぱり五十嵐の苦悩は本物だと思えるわけで。フラれたことだけは書き残せない切なさも、毎朝絶望しながら這い上がる痛みも、日々増え続けるメモと写真の数に目眩のようなものを感じるだろうことも、家族への何より自分への不甲斐なさも、しっかり伝わってきました。それでもギブアップだけは絶対に絶対にしたくないんだという覚悟も。 それでもカラダだけは覚えていてくれるというのは、運動好きな僕としてはとても共感。どんな困難があっても確かに生きていて、積みあがっていく日常。自分で実感できなくても誰かが見ている(冒頭の「見てくれてるやつはいるんだな」はこの伏線だったか)。そこには少なからず意味があると。 名作と呼べるようなものではないかもしれませんが、僕の心には今回改めてしっかりと刻まれた良作エンタメ。エンディングのチャットモンチーも青春風味で染みたのでした〜。よかったら軽い気持ちで見てみてくださいね。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

感想_アンソーシャル ディスタンス

芥川賞直木賞候補出ましたね。どれも気になります。 さて。金原ひとみ『アンソーシャル ディスタンス』(2021年刊)読了。彼が鬱になりボロボロになる女、年下恋人のために美容整形にのめり込む女、セックスレスの夫と友人の弟の狭間で悩む女、希死念慮を持ち恋人と旅行する女、かけがえのない相手とコロナで距離ができてしまった女、の5つの短編集。 最初の3本はコロナ前に発表されてて、残り2本がコロナ中で作中にコロナも出てきます。4本目が表題作の「Unsocial Distance」。非社会的距離。なるほどどの主人公も社会常識とされるようなものからはずいぶん外れている。仕事中に酒を飲み不倫に溺れ、整形も自殺も、きっと眉を顰められ後ろ指を指されそうなものだ。読んで気分のいいものではない。 でも、どれも確かにそこにあるわけで、どの作品も金原さんらしい生々しい女性たちの闇が詰まってますが、タイミングとタイトルにも引っ張られて「心の距離」の物語のようにも感じました。 夫や恋人や不倫相手と自分。それぞれとの距離感があって、それは大きな事件や何気ない一言で、近づいたり離れたりを繰り返す。適切な距離とはなんだろう、そんなものは維持できるものなのかと考えてしまいます。 客観的に見れば、そんな関係やめたほうがいいとか、それは間違ってるよとか言えるかもしれないけど、当事者というか本人にしかわからないんだよねそういうのって。そして心は移り変わるし相手もいるから一定の距離を保つことは不可能なのかもしれない。近ければいいわけでもないし、自分を曝け出せば近づくというものでもないから難しい。 なにより自意識と自分自身の距離さえもままならないのだと、彼女たちを見ていて思うのでした。コロナも自分も簡単にはコントロールできないからややこしい、僕たちを取り巻く適切な距離とはどこにあるんだ問題。 ところでこの物語、反対側からの男性視点で見たら彼女たちはどう映るのだろう。あるいは友達視点でも面白いかも。社会との距離、他人との距離、自分との距離。お構いなしのコロナはすごい。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

バースデー事変!

日曜日にワクチン4回目接種。初ファイザーで副反応がほぼなくてびっくり。 さて。本日45歳の誕生日でしたが、流行り病(コロナ)にかかってしまいました。がーん! 土曜の夜から長男君が具合悪くなり日曜日に発熱。予定がなくなったので急遽ワクチン4回目を接種。長男の熱が40度近くまであがり、月曜日にセルフ抗原検査すると陽性! ただ長男もワクチンうってたおかげかすぐに熱も下がり昨日には回復していたのですが、今度は自分があれなんか具合悪いな?からの40度の死線をあっという間に突破。で、今日セルフ検査で即陽性でした。 このまま逃げ切りたかったんだけど家庭内感染防げなかったかー。ちょっと防御が甘かったというか、病気の長男君を一人にするのがかわいそうで、同じ部屋で寝たりしてしまったのが敗因でしょうか。 その日の夜は寒気がすごくて思い切り着込んで暖房付けて寝たら今度はあっつ!ってなったりよくわからない夜を過ごし、翌日は37度台まで熱が下がり咳がちょっと出るなーくらいでほかに症状もなく、その翌々日には熱下がりました。さらにその次の日には咳もなくなったので、実質1日半くらいの罹患て感じ。なんだかんだでワクチンが効いたと思おう。 しかし、軽快24時間してもまだ抗原陽性出るもんですね。自宅待機期間はちゃんと守らないとだね。一応神奈川県に陽性登録して毎日LINEね経過観察のご連絡きたりもしたけど、特にお世話になることは済んでよかったです。そして妻と次男が今のところ無事なのは不幸中の幸い。 ということで、ケーキもなにもないバースデーで寂しかったけれども、そんな年もあるさ。さっさと治ってくれた副産物として、自宅内隔離で仕事がわりとはかどったほか、本読んでiPhoneで映画見てブログ書いて過ごしております。家族に迷惑かけて後ろめたすぎるのですが。 みなさんもくれぐれもご自愛くださいね。よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

感想_フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊

さて。ウェス・アンダーソン『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(2022年1月公開)鑑賞。架空のフランスの街の架空の雑誌の創刊編集長が急死。追悼号であり最終号となるラストイシューの誌面をオムニバス形式で綴っためくるめくる不思議ファンタジー! iTunesレンタル200円でした。去年公開だと思ってたけど今年でしたね。ウェス大好きっ子として外せません(犬ヶ島観てない観なきゃ)。いやもう、徹頭徹尾ウェス・アンダーソンでした。グランドブダペストホテルの箱庭感はさらに進化していっそうの縦横無尽(ライフ・アクアティック感も)、スクリーンサイズもくるくる変わり、衣装も背景も何もかもが美意識の塊。さらにはアニメーションも融合して今回も過去最高にオシャレスノッブの権化! お話は正直よくわかりません。舞台となる街のレポートから始まり、アートエディターによる獄中の天才芸術家と看守とギャラリストの話、学生運動デモに身を投じる若いカップルのルポ、異国で出会ったシェフと誘拐犯とのグルメ探訪(じゃないか)。全部シュール! と言いつつ、そこにあるのはカルチャーと呼ばれるものへのラブレターかなと思いました。雑誌というメディアがまさしくそうであり、古き良き街への愛情(再開発の憂鬱!)、監獄の壁に描いちゃったアート(それをひっぺがす暴挙!)、若者たちの青春(それを奪う体制!)、警察署長の話は…なんだろな、わからないや笑。題材もそうだし、この異常なまでのディテールの作り込みもそうだし、時代と共に失われつつあるものへの愛しみみたいなものを感じました。ちょっぴりの批判も。 そう思うともう一回じっくり見直したくなるな、大きい画面で。誌面のバックナンバーのビジュアルがこれまた素敵だったし(↓画像)。で、相変わらずキャストも豪華で作品ごとにメンツが増えていきますね。イツメンたちの中に今回はティモシー・シャラメにレア・セドゥーも加わっちゃいました。みんなとんでもなく楽しそうだぞ! あまりにも濃密過ぎて一度じゃ全然味わいきれません。なんかこれは一日中家の中でつけときたい感じ。BGMならぬバックグランドムービー。この映画を完全分析した本が欲しいよ!(来年出るっぽい?) いろいろ想いを巡らせてたらカルチャー熱が無茶苦茶高まってきた。「推し」もいいけど、やっぱり僕はいろんなものに手を出した

カタールW杯レビュー:世界編

うちのキッズたちもワールドカップに刺激を受けておるようです。世界中でそうなんでしょうね。 さて。衝撃の決勝戦でしたね。メッシ戴冠の大団円とエムバペ伝説の始まりが同時に訪れるというこれ以上ないだろうという恐るべきストーリー。メッシのターンひとつでグバルディオルを置き去ったハイライトも、とんでもないエムバペのワンツーボレーシュートも、衝撃的すぎるわ。 ここまで盤石だったフランス、なぜグリーズマンにボールが入らず、デンベレがあんなに内容悪かったんだろう。しかしその後のフレッシュな若手たちの逆襲は見事で、日本もそうだったけど元気なほうが勝つが世界のスポーツのトレンドな気が。戦術が高度化して、対戦相手の分析もかつてない今、コンディショニングがとても大切。ラグビーの日本もフィットネス強化が実を結んでいたしな。で、最後は異次元の個がすべてを破壊する、と。いやはや。 アルゼンチンvsクロアチアでアルバレスが見せたディフェンスに触られても全部自分のとこに返ってくるゴールすごかったし、クロアチアvsブラジルのネイマールのキーパー1対1あの極限でかわしてシュートたまげたし、フランスvsイングランドのジルーお見事だし、オランダvsアメリカのデパイとガクポよかったし、いやはや記憶に残るゲームをたくさん見せてもらいました。 前にも書いた通りサッカーはワールドカップしか見ないのですが、サッカーの質自体に大きな変化は感じませんでした。より前線からのプレス&ショートカウンターが増えた気がしたのと、PA内に入っても最後の最後までつないでくるようになってるって感じでしょうか。全体の陣形とかはよく見えないのでわかんないのですが、より緻密なフォーメーションになってるんだろうな。 このレベルのトップはみんなどこからでも決めれる力があるので、とにかく速い展開で前線にボールを10回送れば2~3回はチャンスきてそのうち1回はゴールまで行ける、みたいな感じがしました。ディンフェス足りてても一人かわせればこじ開けれる強度がどのチームにもあったような。日本にも。大して得点の匂いがしなくてもワンチャンでゴールまで迫れるスピードと技術。だから気が抜けないし目が離せないゲームが多くて面白かったなー。 で、なんでもそうだけど見るとやりたくなるというスポーツマンの性。サッカーしたいぜー。大きなコートを走る体力はないのだけれど。 次

ラグビー リーグワン開幕!

イギリス代表のエディ・ジョーンズ解雇ってわりと衝撃的ニュース。 さて。ワールドカップ決勝も楽しみですがその前に! ラグビーのリーグワンが昨日より開幕。そして本日われらが横浜キヤノンイーグルの開幕戦@三ッ沢競技場てことで、行ってきましたよ~! 去年の開幕戦でもらったTシャツ着てね! 素晴らしいラグビー日和で、スタンドはかなりの数うまっておりました。お相手はコベルコ神戸スティーラーズ。去年と同じ開幕カードですね。球技専用グラウンドなので、客席からフィールドが近くてとても見やすい。選手の声もはっきり聞こえてくるレベルで、これはいいなぁ! 試合は神戸がPGで先生も、イーグルスが田村のトライで逆転しリードを奪うと、イーグルスが追加点を入れては神戸も追ってくるという展開。リードは渡さないものの、引き離すたびに追いつかれての接戦が繰り広げられます! そのまま後半に突入してついにきたー、南アフリカ代表のデクラーク登場! なんでもちょっと前に怪我したとかでベンチスタートだったみたい。そして、最後までリードは渡さずイーグルス見事勝利!! なのですが、この日は長男と観戦予定だったものの体調不良になってしまったため、やむをえず次男をアサイン。予想通り前半25分にして早々に退屈してしまい「おうち帰りたい!!!」になってしまい、どうにもならず強制終了‥スタンドを後にしたのでした。泣けるぜ。でも空気だけでも味わえてよかったよ…。 今年は三ッ沢でもけっこう試合あるようなので、いっぱい観に行くぞ、長男と! よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。