さて。昨日に続いて国立新美術館の「李禹煥」展レビューです。
展示の折り返し地点には野外作品がありました。砂利が敷き詰められ、中央に鉄板の大きなアーチと両サイドに岩石。遠くには六本木のビル群と、やたら近くを飛ぶ飛行機たちがいて、不思議な空間でした。これは触ってもいい作品で、石に触れると日の当たる方は温かい。鉄は全体温かい。あらためて素材の違いを体感して、いつも僕たちはそのイメージや思い込みだけでモノを見ていると再確認。触れてみることの大事さよ。
さてさて、後半は絵画作品です。
「点より」シリーズは、規則性のある絵画で、幾何学的でもありながら、筆の質感はアナログで、絶妙な筆致が波を生み、リズムを生み、速度になっていく感じ。
「線より」シリーズは、人に見え、雨に見え、滝に見えてくる作品。それは上から下へと流れていると思っていたけど、いや待てよこれは下から上へと昇っているとも言えるよなと思い当たる。そういえばところどころに作家の言葉が記されているのだけど、「行くもの来るものの両義性」というのがあったけど、まさにこのことかもしれない。ものごとには2つの側面があるね。
「風より」シリーズはより自由にランダムに。それは量子的でいて細胞のようで、生命を感じましたし、「対話」シリーズは絵画の中で関係性が問われていて、ものごとはそれそのものでは完結しないことを思わされました。関係の中にすべてがある。僕も、君も。
という感じで、いやはや、前後半通して魅せられっぱなしでした。最後まで観て、もう一度戻って、2回目を通してみて、ここまでシンプルなのにこんなに胸を捉えられていることに驚きました。
でも、直島の李禹煥美術館で初めて李さんの作品を見た時は「よくわかんねーーーー」って思っていましたけれど。知識が増えて成長したとも言えるし、見方が頭でっかちになったとも言えそうですね。でもでも、この展示はとてもよかったと思います。
美術館の前にももうひとつ野外展示が。これだけの量を一気に観られるのは貴重な体験ですね。会期は11/7まで。ぜひ!
よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。
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