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山形よりみち記その5。美しくて健やかな写真と建築と公園と。

 

人間ドックの再検査はすべて異常なしでした。ホッとしたぜ!

さて。山形最終日は鶴岡から車で20分ほどの酒田へ。まず向かったのは、土門拳記念館。日本で初めての写真専門の美術館で、建築は谷口吉生によるもの。大きな公園の池のほとりにあり、眼前には鳥海山を望むロケーションで、建築美と合わさってただただ美しい。

山形県酒田市 土門拳記念館



土門拳の写真をしつかり観るのは初めてですが、その迫力に引き込まれました。室生寺の仏像を収めたシリーズなどは特に圧倒的で、その表情から目が離せなくなります。彼自身、仏様の姿を一日中観ていたそうですが、その感動が伝わる気がします。表面ではない深層。


その他の寺社の風景、戦後の人々、どれも何気ないようで撮影者の視点がはっきりしている、濃くて強い写真という感想を持ちました。どうやったらこんな風に撮れるんだろ。展示室は静謐で写真のチカラを正しく伝えていました。そして廊下や中庭は、風景と密接に寄り添っていて谷口さんらしい。イサムノグチの彫刻もあって、巨匠たちの交遊が伺えます。



土門拳記念館があるのは飯森山公園というところで、とてもいい公園でした。小高い丘に冒険広場なる遊び場があるのですが、ここの遊具がとても秀逸。長さのあるローラー滑り台に、ターザン、マルチな滑り台に、小さい子向けの海賊船モチーフ遊具など。


それらの造形デザインがやたらと有機的でクリエイティブでもあるのが最高で、小3くらいまでの子は永遠に遊んでいられそうです。実際に家族連れて賑わっていました。そして繰り返しになりますが、鳥海山の眺めが素晴らしくて。ひとつの理想的な環境だぜ。


それからそれから、最後に足を伸ばしたのは国の指定文化財でもある山居倉庫。いろんなとこで写真を見かける黒塀がおなじみのこちら、築120年ほどの米蔵だそう。昔は冷温貯蔵が難しい中、この蔵は西日を受ける側を黒塀にするなどの工夫を凝らしてそれを可能にし、夏場まで美味しいお米を食べられるようにしたとか。


今では横浜赤レンガ倉庫よろしくショップ&ギャラリーに。ついこないだまで現役の蔵だったそうですが、文化財指定されたことで現役を引退したそうで、なんとなくそれは本末転倒なような気もしましたけれども。


ということで、あっという間に駆け抜けた庄内地方。予想以上に素敵なところでした。


よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。


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