さて。鍵岡リグレアンヌの個展「Undersurface」を鑑賞してきました。6/22〜8/3まで天王洲アイルのMAKI ART GALLERYさんにて。 去年か一昨年の企画展で一目惚れした鍵岡さん、待望の個展です。今回は彼女の代表的なシリーズ「Reflection」をメインにした展示。このシリーズは水面をモチーフに独特の技法で唯一無二の絵画作品に仕上げたもの。その色彩の美しさと、彫刻的な立体感、そして見る人を引き込むリズムが素晴らしいのです。 ちょうど作家さんが在廊していていろいろお話も聞かせていただけました(!)。さまざまな水面を求めて各地に足を運んでいること、ビビっとくる瞬間をひたすら待ち、撮影した写真をもとに水彩画の習作をまず起こすこと(今回はその展示も。見比べるとまた楽しい)。そしてそこから作品に落とし込むこと。 風や波によるゆらぎに同じものは一つとなく、その時々の光や周囲の環境を写し込んだ水面はまさしく一期一会であり、そこで切り取られた瞬間がこういうふうに作品化されるプロセスにまず感動。さらに作品を前にすると、宇宙から見た地球や大陸のようにも見え、無限の広がりが感じられるというのもすごい。ひとつの水面から立ち上がる永遠。刹那と悠久をつなぐアート。大げさではなくそう思うのでした。 うん、作品のリズムがそう感じさせるんだよね。水がひとつところにとどまらないように。命の循環や自然の摂理をも思い起こさせて、ずっと見ていられる。豊島美術館の作品『母型』にも通じる輪廻を感じますね。物質の動きを伴わないあくまで絵画なのにそれを成し得ているという神業作品。背景をうかがえたことでいっそう深く魅せられたのでした。いや本当にいい時間だった。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。
「よりみち」をテーマに綴ります。お出かけのような物理的なもの、心持ちのような精神的なもの、たしなみのような文化的なもの、全部ひっくるめての「よりみち」を推奨していきます。よりみちしながら、いきましょう。(ブログタイトルは『暇と退屈の倫理学』より借用。基本方針は、2022年1月1日のポストをご覧ください)