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暗闇と信号が問いかける。

レッドソックス吉田選手の無双が凄すぎる。どこまで行くのか!?

さて。アーティゾン美術館で開催中の「ダムタイプ|2022:remap」を鑑賞。去年の第59回ヴェネチア・ビエンナーレの日本館展示に選出されたインスタレーションを、再構成したもの。石橋財団がビエンナーレの日本館建設に深く関わっていることで、帰国展を開催しているそうです。

前情報なく臨みましたが、展示室は照明が最小限の真っ暗な空間に、何かノイズ的サウンドが流れています。会場中心部にメインの展示があるようで人が集まっている。そして周辺には光るクールなレターンテーブルが。音はここから聞こえてくるようです。この音は、世界中の都市で収集されたものだそうで、北京、ケープタウン、チェンマイ、ロンドンなどなど全16都市がその位置関係にあわせて配置されていました。

中心部の展示は、ある映像が床の鏡に映し出されるもの。覗き込むとそれは等高線の描かれた地図のようなものが流れ続けます。キャプションがないので、これはなんだろう?の答えはありません。自分で考え、想像するしかない。地図に見えるけど具体的な場所のヒントがないんだよな。

そのとき、周辺の壁にムービングサインが流れていることに気づきます。「What is the Earth?」「What is an Ocean?」「How many Countries are there?」といった根源的な問いが連なっていました。それを見てやはりこの映像は地図なんだと確信。

地図には文字と数字と線が描かれていますがやがてすべてが崩れて「線」だけに回収され、しばらくするとまた再構築されたりします。僕たちの知識にある国とか町とかってイメージでしかなかったり、普段見ている風景と地図ってかなりギャップがあるわけで、僕たちは情報や知識によって山やら国やら境界線を理解しているんだなと思い至る。

情報量の少ない地図に、謎のテキストとサウンドという極度に限定された情報を前に、自分が何を展開できるのかを試されるような展示でした。情報過多の時代、僕たちはあまりにも外部のイメージからしかものごとを思考できなくなっているのかもしれません。誰だって結局、参照するのは過去の体験と記憶になるのですが、ちゃんと自分の中からそれらを引っ張り出して思索を巡らせるということはもはや新鮮な体験でもありました。

自分の中に潜っていかないと「ナニコレワカンネ」で終わりそうな作品なので、好き嫌いは分かれそうですが、一見の価値あるなぁと思いました。なお、プロジェクトメンバーとしてサウンドを担当したのは、故坂本龍一さんだそうです。

同時開催の「アートを楽しむ」とコレクション展もあわせてお楽しみください。VIEW DECKからはお隣戸田建設本社の建て替えの進捗も覗けますよ。

よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。







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