さて。アカデミー賞も近づいてきたので、ノミネート候補の『バービー』(2023年公開)鑑賞。面白かったわー!
オープニングのバービー登場で子供らが赤ちゃん人形破壊するシーンから笑わせてくれて(あれなんかのパロディですか?)、全体でもシュールギャグぽいのが散りばめられた良質コメディ。でもいろいろ皮肉も効いていて、最後はちょっとグッとくるものもあって、おバカな商業映画ではない。
超前時代的アイコンゆえ、現代の価値観とは全く折り合わないバービーをフックにした自分探しストーリーなのですが、近現代の女性の生きづらさとか訴えをリアルに落とし込んだ女性賛歌になってるのが見事。男社会の欺瞞を暴きながらも男たちなりの苦しさも出してくれました。ケンダムランドを作るケンもまた男性性の犠牲者に見えたよね。
みたいな話を、バカバカしいほどにバービー世界を再現し、人間世界との行き来は書割セットでコミカルに描いたのが秀逸すぎるやん。脳みそお花畑なバービーを演じたマーゴット・ロビーも、ダサい金髪野郎の悲哀を出し切ったライアン・ゴズリングも良かった! 謎にゴッドファーザーとかスナイダー版ジャスティスリーグとか映画トリビア入れてくるのも面白かったね。
かと思えば、壁を作って世界を分断するのはトランプ風刺だろうし、死をタブー視するバービーランドの近視眼的危うさはポピュリズムへのアンチテーゼにも思える硬派な一面も。ラスト、バービーが見た人生の記憶は、幸せなシーンばかりで、こんな世の中ではあるけれどその人生には幸福な出来事もこれだけたくさんあると肯定的に人の世を描いてくれてるように感じて救われました。
色んな表層的価値観や役割定義に踊らされがちな昨今だけど、大切なのは自分とは何者かを知ること。完璧だったバービーも、ただの付属品だったケンも、誰かに与えられた設定を乗り越えた先に初めて生きる意味を見出したように。
主演2人の実年齢や、ティーンのサーシャじゃなくてその母が頑張るあたり、この作品のターゲットって古い価値観に縛られるリアルバービー世代の40〜50代なのかもですね。今の子はもうデフォルトで呪い解けてるのかな。解せなかったのはラスト、え、妊娠フラグ?と思ったのですが、あくまでバービーの進化のサイン??わからんかった。生まれ変わって改めて女性として生きることの喜びや幸福の象徴だったのかな。母娘の絆はテーマのひとつだしね。
何度も見返すような作品ではないかもしれませんが、観て損はない一本。監督のグレタ・ガーウィグってフランシス・ハの主演女優だったのか! 『レディ・バード』も観るぞ!
よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。
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