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感想_異世界のんびりキャンプ

あろうことかエイプリルフールをすっかり忘れていて、嘘つかなかったなー(嘘ではありません)。

さて。長野文三郎『異世界のんびりキャンプ』読了。限界社畜サラリーマンのアキトが、今日も今日とて長時間労働の帰り道に迷い込んだのは、異世界のとある島だった。そしていつの間にか手に入れたのは「キャンパー」なるジョブで。聖獣の住まう島で、貴族令嬢と出会うアキトのキャンプ生活は果たして!?

めちゃくちゃ、めちゃくちゃ、面白かったです! とにかく語り口が最高で、穏やかながら軽妙洒脱、笑わせてくれるの感じは誰かに似てるな・・・そうだ、森見登美彦さんだ! よし著者の長野文三郎さんのことはこれから異世界の森見登美彦と呼ぼう。いやむしろ、森見さんが京都の長野さんだったのか?(意味不明)

冗談はさておきまして、キャンパーのジョブは、様々なキャンプスキルを取得していきます。テント系、料理系、鑑定系などいろいろ。毎日少しずつポイントを取得しながらスキルツリーを伸ばしていくので、その着実な成長感が心地いい。しかもストーリーを上手に展開させながらスキルの説明がなされていくので、まどろっこしさも分かりにくさもない。こういうのができるのって、お見事な腕前です。

話も面白くて、貴族令嬢は訳ありのドリルヘアーで、そそっかしいけどめちゃ強くて世間知らず。そんな彼女がキャンプとアキトに知らず知らず惹かれていくのがいいのよね。サブキャラとして出てくる、食いしん坊猫や、憎たらしい鳥もいいアクセントで、極めつけは矛盾と葛藤を抱えた人見知りのアシカね。是非読んでほしいわ。

ということで、異世界とは思えない滑らかで上質なこの味わいは、是非多くの人に知ってほしいところ。超おすすめです!

よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。



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