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「誤り」のその先に価値がある

本屋さんをぐるぐる回るのは楽しいです。次々と新しい本が出ているから新しもの好きには最高。

さて。そんな前フリでご紹介したいのがこちらのXD MAGAZINE(クロスディーマガジン)。初めて見ましたが「日常の価値を問い直すビジネス・カルチャーマガジン」だそうで、季刊。で、このvol.5の特集は「誤る」。人間は間違えるものだけど、間違えた後どうしますか?って話と、そもそも間違えるって何だっけ?って話がまとまっていました。

結論から言うとめちゃくちゃ面白かったです。なんせ誌面のトップバッターは加護亜依さんインタビュー。喫煙騒動に始まるあれこれを経た現在地と当時の心境を聞いていて、それはとても清々しかったです。なにしろ僕は加護ちゃん好き、てのは置いといて、とてもいい言葉がありましたので引用させていただきます。

「偽ることでしか加護亜依でいられないと思っていたから。だけど、今は自分にウソをつくことこそ『誤り』だと思うから、逆に自分に正直でいる以上は『誤ること』なんてないんです。」

本質はここにあるなって思いました。失敗や間違いがいけないのではなくて、「ウソをつくこと、偽ること」こそが良くないことの根源なような気がします。つい本心にないことを言ってしまったり、周りに合わせたりというのは避けて通れないけど、やりすぎないようにってことですかね。

次に登場した言語学者の金田一秀穂さんも、正しい言葉や日本語の誤りというテーマからこう言っています。
「正しい・正しくない、乱れている・乱れていない、じゃなくてね。正直な言葉なら『りょ』だって、『ぴえん』だっていいよね。ことばって誰かのものじゃなくて、誰でもない全員のもの。一人ひとりのものなんだからさ。それが健全ですよ」

失敗を恐れ、不正は隠蔽され、とにかく間違えないことが重視されがちな空気の世の中ですが、多分誤ることなく生きるのは不可能なわけで(不可能ですよね?)、正論すぎますけど、間違えた後どうするかが大事ってことを、あらゆる角度で教えてくれる特集でした。

思想家の東浩紀さんの言葉も引用させていただきます。
「なにかが成功した、間違ってなかったといえるときは、たまたま自分の思った通りになった結果から逆算してそう感じられているだけです。大体のことはうまくいかない。生きることは誤ること。その副産物から次のステージに進めていくもの。正しく予想通りに月日を重ねていけるものではない」

まだまだ書き切れないほど豊かな示唆に富んだ一冊でした。全体のクリエーションも素晴らしいので、他の特集も見てみますね。

過ちのその先へ。よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。


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