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感想_海の闇、月の影

ラグビーワールドカップまでちょうど1年だそうです。あの興奮が待っていると思うだけで昂まるな。

さて。篠原千絵『海の闇、月の影』全18巻読了。双子の高校生、流風と流水は謎のウイルスに感染し、宙に浮き物体をすり抜ける信じられない能力を身につける。流水はそのウイルスを広め悪用し、流風はその抗体となって止めようとするが。双子が想いを寄せていた当麻克之を巻き込み激しく動き出した彼女たちの運命は…。

子供の頃、姉が読んでいたマンガを少しだけ読んで、すごく面白くて怖かったサスペンス漫画。30年以上結末が知りたかったのをついに大人買い! 双子の三角関係という恋愛要素を下敷きにして、かなりスプラッター味のあるサスペンス作品でした。コロナなんて目じゃない恐るべきパンデミック!

流水が最初に能力を覚醒させて、追いかけるように流風も覚醒して、徐々にエスカレートしていくのがとても面白く、同じ姿形なのにジキルとハイドになっていくのも興奮しました。

最初からけっこうバタバタと人が死んでいきますが、ジーン・ジョンソンが出たあたりから、その流れに拍車がかかり、5枚の処方箋編あたりからは能力も行きすぎるわ、出てくる人物皆殺し状態だわで、ちょっと疲れちゃいました。そして運命の最終決戦。結末はあっさりしたものですが、胸が痛かったよ。

何もかもが同じだった双子の運命を狂わせたものが、淡い恋心だなんてあまりにも残酷で。完全ヒールではあったものの流水の苦悩は想像に難くないし、それを止めなくてはいけない流風の哀しみもいかばかりか。克之はスーパーヒーローすぎますが、事件の発端でもあることを責めずにいられるのだろうかと。

今だったらそのあたりの心理面もより掘り下げた超重厚作品にもなりそうな怪作でしたね。能力もまだまだ考察の余地ありそうだし、青年マンガもびっくりのハードさ。少女マンガと侮るなかれってところでしょうか。

とりあえず長年知りたかった結末を見届けられて満足なのでした。よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。


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