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感想_ゆめのはいたつにん

村神様の弟さん、兄と同じ九州学院の4番を打っていて、甲子園出るんですって! どこまで盛り上げるんだ〜!

さて。教来石小織『ゆめのはいたつにん』(2016年刊)読了。派遣社員をしながら、脚本家を目指していた筆者が、あるとき一念発起して、カンボジアの子供たちに映画を届ける活動をスタート。コネもない、お金もない、チカラもない中で、それでも映画で子供たちに明るい未来を見せるという信念が、多くの人を動かしていったその記録。

いち映画ファンとして、なんて素晴らしい活動だろうと胸を打たれました。と同時に、恥ずかしいというか悔しいような気持ちも。映画は好きだし、素晴らしいと思うけれど、彼女ほど強く映画のことを信じられていないとも思ったし、それ以上に彼女のように自分の夢を持ち、信じ、進み、そして叶えること、できていないよなと。羨ましさと、ジェラシー。

活動は苦難の連続ながら、素晴らしい仲間がその時々に現れて、前へ前へと進んでいきます。カンボジアについて教えてくれる人、上映を手伝ってくれる人、プロジェクターやスクリーンを提供してくれる人、チームを引っ張ってくれる人、時にしかって鼓舞してくれる人。この本だけだと、それはそれは順風満帆のサクセスストーリーにも思えてしまうけど、現実はそんなに生易しいものではなかったと想像します。にもかかわらず多くの人を惹きつけている事実に、著者の方にお会いしてみたいと思いました。なお、この活動は今、NPO法人 World Theater Projectとして、さらに多くの子供たちに映画を届けているそうです。(コロナによって色々大変そうです)

夢を持つってやっぱり簡単じゃないし、持ち続けること、行動に移すことはさらにハードルが高い。だからこそ、それを実現している人にはどうしても自分の分まで託すような気持ちでついて行きたくなるのかもしれないな。

翻って、自分は何ができるだろうか。彼女が映画なら、僕はやっぱり本かもしれない。なんだかんだ本が好きで、本に関わってきた半生。それを何かしらの形で社会に還元したいような。著者は、映画の配達を「夢の種まき」と表現しています。でもそれは少し違うかもしれなくて、映画を受け取ったわけではない僕にまで(おそらく他にも活動に参加したり、この本を読んだ人たちにも)、夢の種は蒔かれているように思います。著者自身が夢の生産者だ。

そんな、夢を信じることの尊さを教えてくれる一冊です。

よりみちしながら、いきましょう。夢見心地で。今日も、いい1日を。

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