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ウェルビーイングを問うアート展へ

 

7月に捕獲したカブトムシズがめでたく卵を産み一部は孵化していました! 孫ができた気分…とまでは言わないけど嬉しい。


さて。森美術館で開催中の「地球が回る音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」展を鑑賞してきました。僕の感想をひとことでいうと、ウェルビーイングとは狂気。です。なかなかいろいろ考えさせられます。


パンデミックにさらされたこの3年を通して「ウェルビーイング」という言葉を聴く機会も増えてきました。この展覧会ではウェルビーイング、すなわち「よく生きること」とはいかなることかを、国内外16名の作家の新旧140点ほどの作品で提示しています。


ある作家は、ひたすら集めた花粉によって黄色い大きなペインティングを作り上げたり、別の作家は北極点で24時間かけて地球と反対回りに動く様子を撮影したり、はたまた新聞紙を一部のキーワードをのぞいて塗りつぶして星空を生み出した作品もあれば、植物を細部まで再現した絵画作品もあり、毎日ひとつ作品を作り続けた軌跡もありました。こんな具合に、あらゆる出品作品がやりこみ系でまとめられていました。


僕にはそれはひとことで言うと「狂気」だと思ったのです。常人ではとてもできないレベルでひとつのことを突き詰め、結晶化された作品。はたしてこれはウェルビーイングなのだろうか。普通じゃない。異常といって差し支えない。作家たちはこの制作を通して、幸せを感じていたのだろうか。聞いてみないとわかりませんね。


でも、ここまでやりきれるもの、向き合う対象があるというのは、外から見ている分には羨ましい面もあるかもしれません。行為そのものを真似することはなくても、そこまで没頭できる、夢中になれる、という状態は理想的とも言えそうです。外部からの価値に意味などない。真価とは、自らの中にある。


タイトルは、オノ・ヨーコさんの作品からとられたもの。あらゆる価値観がゆらぎ、自身の内なる声に向き合わざるをえなくなった今、果たしてそれぞれにとってのウェルビーイングとはどんなことなのか。そんなことを問いかける展示でした。


ぼんやりしてちゃいけないけれど、よりみちしながらいきましょう。会期は11/6まで。今日も、いい1日を。






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