久しぶりに大道芸を楽しみました。観覧者も一頃より随分増えてましたよ。
さて。汐見夏衛『君はきっとまだ知らない』読了。正義感が強く、クラスのまとめ役だった光夏は、ささいな出来事をきっかけにクラス全員から無視されるように。ギリギリのところで耐えていた光夏の前に、幼馴染だった千秋、春乃、冬哉が現れ、彼女をサークル活動に誘うが、今の自分を知られたくない光夏は、彼らを拒絶してしまう。
自己肯定感をなくしてしまった高校生の物語。こういう迷いや挫折は、学生にはつきものと言えそうです。いや、学生に限った話ではなく、すべての世代に共通するものがあるように思います。失敗や、不運が重なることで、いろんなことがうまくいかなくなり、自分は何者なんだろうと思い惑い、袋小路に迷い込むようなこと、大なり小なりありますよね。
大抵は、それでも折り合いをなんとかつけてやっていくのでしょうけれど、どんどん悪い方に行ってしまうことだってあるわけで、光夏はまさにそんなタイミングでした。真面目で、それまでは自分に自信があったからこそ、思い描いていた自分とのギャップに苦しんでしまったという。
そんな彼女を救ったのが、幼馴染の3人、とりわけ千秋(男子です)でした。なぜ疎遠になっていた彼らが現れたのかはネタバレになるので控えますが、光夏が見失った光夏自身を、彼らが思い出させてくれます。おそらく彼ら自身も当たり前だった光夏の存在を再確認したのでしょう。自分だけでは見えないこと、気づけないことも、誰かがきっと見ていてくれる。特に世界がまだ小さい学生には、この物語がそれを知るきっかけとして機能しそうです。
人は1人じゃないし、1人では生きていけないこと。それを教えてくれる1冊です。
よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。
コメント
コメントを投稿