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感想_タコピーの原罪(上下巻)


阪神と佐々木投手の勝ち星が同じくらいになるんじゃないかと心配している僕です。


★以下、若干のネタバレを含みます★

さて。タイザン5『タコピーの原罪』上下巻読了。ハッピー星からやってきた宇宙人のタコピーが出会ったのは、笑わない少女、しずか。彼女は学校でいじめられ、家庭は崩壊していた。タコピーはしずかに笑顔を取り戻せるのか。


ジャンプ+で話題沸騰、上巻も発売即重版で書店を賑わしてた問題作です。上巻読んであまりの救いのなさに辟易しつつも、下巻では一応いろいろ回収されてはいました。


落とし所は「お話をしよう」。いろんな事情、いろんな想いをひとりで抱え込むのではなく、それをアウトプットしよう。互いに交換しよう。痛みをわかってあげられなくても、代わってあげることができなくても、それで何かを変えられないとしても、だけどそれを吐き出そう、吐き出していいんだよ。と、メッセージします。


それはとても共感できるし、いいメッセージだと思うのですが、深い話でもありますし、いじめ、毒親、人間関係とテーマが重いだけに、なかなか消化し切るには時間がかかりました。もう少し掘り下げて描いて欲しかった気もするけど、それはそれでややこしくなりすぎるからこのくらいでいいのか。


さて、タイトルにもあるタコピーの原罪とはなんなのか。ハッピー星の掟も明らかにはされませんでしたが、「1人で帰ってきてはならない」=誰かを幸せにして連れ帰る、友達を連れてくる、あたりが掟なのかなと読み解きました。それができなかったこととあわせて、タコピーもまた母親と言葉を十分に交わすことなく飛び出したわけで、そのコミュニケーション不全こそが原罪と理解しました。


親子、夫婦、兄弟、友人、クラスメート、世界中に日常的にあふれているだろう、いくつかの断片でのコミュニケーション不全をあぶり出し、その闇にセンセーショナルに光を当てた衝撃作。普遍的なテーマだけに、ここから脚色して長編映画とかにするといいのかもしれないと思いました。連続アニメとかでもいいのかな。


よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。





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