はっきりと春の足音が聞こえてきましたね。そりゃそうか、もう3月だもの。
さて。ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』(2021年刊)読了。前作がベストセラーになった、イギリスはブライトンに暮らす親子のエッセイ。いわゆるダブルである少年の目線を通して、今という時代を切り取る第二弾。少年は思春期の入り口に立ちます。
今作もさまざまな示唆に富む一冊でした。リサイクルをする側、される側のこと。ノンバイナリーという性の多様性のこと。選挙と、図書館のこと。日本の祖父とのこと。ある問題のある歌詞のこと。パブリックなこと、パーソナルなこと、ひっくるめて前作同様に「今、私たちはどんな時代を生きているのか」を問いかけていきます。
少年が成長した分なのか、前作ほどのピュアさや、起きるできごとのバリエーションは少なくなった気がしますが、それでも考えるべきことはたくさん詰まっていますね。不用品をリサイクルに出してすっきりしたような気持ちに感じるエゴとか。多様性と言いながらも一人一人のグラデーションを考慮せずにステレオタイプな多様性に押し込めてしまう危うさのこととか。
これをただイギリスではこんな風なんだなで終わらせるのではなく、自分ごとに引きつけて考えないといけないなと思います。世界で起きていることは、遠いどこかの話ではなく、間違いなく自分の身の回りにもあることだから。今はたとえ見えていないとしても。
これで完結ということですが、コロナ禍や、今のウクライナを見て、彼が、彼らが、何を思うのか、気になりますね。そして、自分自身もこれらの問題について、きちんと考えなくてはと思わされるのでした。読んで損はない一冊。
よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。
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