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「間(あわい)」にあるものたち


忘れてたけどこの三連休中に初詣行きたいです。

さて。『あわい』という小さなZINEをいただきました。これは、フォトグラファー/ライターの忠地七緒さんが、撮影、文章、編集をすべて手がけたものです。表紙にこう書かれています。「あわいは決めきれないゆらぎに潜む”らしさ”を届ける雑誌です」

「あわい」とは「間」と書きますね。文字通り物事の間という意味で、この本では白か黒か、正解か不正解かという二元論ではなく、その間にある、人それぞれに違う、うまく名前をつけられないような感情や価値観を肯定したいという意図が込められているのだと思います。

誌面を彩るのは、麻佑さんという女性のポートレート@真鶴、芸人/放送作家の佐藤満春さんのインタビュー、編集者の古川誠さん(現オズマガジン編集長)のインタビューです。それぞれの立ち位置や歩んできた道のりがつづられていて、写真と文章がちょうど半分ずつくらいの比率になっているところが、すごく忠地さんらしいなと感じました。ひとりでこれを作るってすごいな。編集技術自体は僕にもあると思いますが、実行・実現させるのって別の話。

誰かの心のうちをこんなふうに読ませてもらえるって嬉しいことで、ちょっと自分にも近いものがあるなぁとか、まるで違うけどそういう考え方もあるんだなぁとか、そよそよと琴線に触れてきます。そして、自分の中のあわいについてはどうなんだろう?って考えてみる。

あわい。よく思うのは、51対49くらいの感じでAを選んでも、他者にはその割合は見えなくて。どんなに迷っていても明日には選択がひっくり返っても、そのプロセスは見えないんですよね。でも、結論だけを見れば100対0に思われてしまうこともあって、そのギャップがなかなか難しいよな、と。便宜上Aを選んだけど、そんなに割り切れてないんだよとか、自信ないんだけどなとか。

人は他者との相対性の中で生きてるので、誰もがあわいの中にいる。その中で絶対的なものを持てたら強いけどなかなかそうもいかないから揺れ動く。ひと昔前は「トレンド」とか「常識」とかの優位性が強かったのでそっちを見てれば迷いにくかったし、「固定観念」や「世のムード」を疑わずにいられたけど、今はそういうものが溶けてきたので、自分で見つけなきゃいけないし、自己肯定しないとしんどい。選択肢も多いからな。

自分で自分の座標軸を見つけて、それが人からどう見えようとも、ときに「普通」からどれだけ遠くにあっても、好きなことを選ぶしかないんだよなと思います。これもまた暇と退屈とよりみちの倫理学。誌面に登場している方も好きなことをしているんだろうなと感じました。だから、揺れても、ブレない(ように見える)。

好きなことのためには、好きじゃないこともやっていかねばならないというのが、どうしたってついて回りますけど、それってみんなそうでしょうからね。好きなことをやるのと、好きなことしかやらないってのは、だいぶ距離がある。特に好きなわけじゃないけど、歯は磨く。51と49の世界。あるいは、34と33と33の世界。はたまた、161と389と288の世界もあるか。100で納まるとは限らないぜ。

と、グースアイランドのMIDWAYを飲みながら考えた深夜1時。奥深きあわいの世界。お求めはこちらからから。

よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

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