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感想_草魔法師クロエの二度目の人生



最近夜更かしがきつくなってきました。寄る年波よ。


さて。小田ヒロ『草魔法師クロエの二度目の人生』(2021年刊)読了。不遇の人生の末に獄死させられたはずがなぜか5歳に戻っていたクロエは、一度目の人生で得たスキルと知識を頼りに自らの運命を変える戦いを始める。守護者にも恵まれ、まさかのドラゴンとの遭遇を経て、ついにクロエは新しい人生を手に入れる!

草魔法師クロエの二度目の人生 自由になって子ドラゴンとレベルMAX薬師ライフ | 書籍 | カドカワBOOKS

いろいろ女性向けの異世界文芸を読んでいて、抜群に面白かったのがこちらです。不遇の末の転生とチートスキルは異世界もののお約束ですが、この作品が良かったのは、一度目の人生の結末もしっかり言及があり、そしてだからこその転生後の選択や発言に説得力があること。それから、草魔法が安易にチートなわけではなく、設定のディテールがしっかりしているので、没入しやすい。本人のキャラクターも好感が持てて、気がつけば応援したくなるのです。


登場人物との出会いや別れもいい感じで、クロエのキャラがしっかり立っているからこそ、そのドラマが効果的に物語を推し進めてくれます。ドラゴンもいきなり最強じゃなくて、生まれたてでまだ非力ってのもいい塩梅。全体としてはストレスなく読めるのも、異世界に求められている要素をしっかり満たしていると思います。


いろいろとこの先の布石も散見されたので、確実に続刊出るんでしょうね。ぜひ2巻も読みたいと思ったのでした。同じKADOKAWAさんだと『サイレント・ウィッチ』も人気タイトルだけど、僕的にはクロエ推しで。こういう"当たり"を見つけるのも読書の楽しみですよねー。


よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。

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