公園の梅の花が咲いていました。こんなに早いっけ、開花?
さて。キューライス『すず色のモーニャ』(2021年刊)読了。森の奥で暮らす魔女のモーニャは、町の人には恐れられ、たった一人で暮らしていた。そこにどこからともなく現れた少女ドロシーと、愛犬トト。屈託のないドロシーによって、モーニャは少しずつ心を開き始め、彼女たちは願いを叶えてくれるオズの大魔王がいるというエメラルドシティを目指す。しかしそこには思いもよらない運命が待ち構えていた。
キューライスさんを存じ上げなかったのですが、ウェブ発で様々な人気キャラと漫画を生み出していたり、絵本をヒットさせていたりする方でした。言われてみると、絵本は見たことある気がします。で、こちらのモーニャ、とっても良かったです!
最初はゆるめの四コマ的な感じかと思いきや、楽しげな前半から冒険色が出てくる中盤、そして何やら終盤には切ない展開まで待っていて、ちょっとしたハリウッド並のドラマが展開されるのでした。一応、オズの魔法使いをうすーく下敷きにしつつも、オリジナルのストーリーです。
序盤、モーニャが雰囲気だけで人々から遠ざけられるのは、『桃太郎』の鬼は本当に悪いのか?議論が頭に浮かびました。「鬼」というイメージだけで悪者扱いすることがあるように、モーニャも言われなく恐れられたりしています。それをドロシーはあっけらかんと、正論で、半ば強引に連れ出してしまいます。噂に流されずに自分の目でモーニャを評価するドロシーはとても素敵。多くの弱きものや、マイノリティへの優しさを感じさせ・・・たりはしない、ドロシーとトトの丁々発止がいい具合。あくまでフラットさ!
そして二人には究極の選択が待ち受けるわけです。素直な思いを伝えられなかったこと、軽い気持ちでエメラルドシティに来たこと、彼女たちは少し後悔という名の痛みを抱えます。でも、強い意志によってそれを乗り越える二人。決して安易なハッピーエンドとは違う、信じ合い、そしてお互いに向き合ったからこその結末だったように思えました。あくまで語り口はライトなんだけど、結構グッときたな。
愛嬌のあるイラストと、とぼけたキャラクター、だけど芯のあるストーリーで大人の鑑賞に耐えうる一冊。子供にも読ませたいんですが、ルビが振られてないので未就学児にはきついですね。小学校低学年ならいけるのかな?
サイト上で読めるので、ぜひご覧くださいね。20分くらいで読み切れると思います。
よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。
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