12/1水曜日おはようございます。竜巻に注意って出たますけど、台風一過のような快晴です。
さて。僕とスロヴァキアという国には3つの縁があります。ひとつは、2011年に旅行したこと。ふたつめは、その数年後に東京で迷子のスロヴァキア人をホテルまで案内したこと。みっつめが、今日ご紹介する写真集です。
スロヴァキア人の写真家、マーリア・シュヴァルボヴァーによるこの『swimming pool』は、その名の通りプールを題材にしたもので、スロヴァキア各地に点在する10のプールで撮影したそうです(ひとつを除いて現役稼働中とか)。
共産主義国であった名残を感じさせる、無機質な機能主義の建物とインテリアは、今見るとレトロで味わいがあり、そこにマーリア独特の淡いパステル調に仕上げた色彩が加わって、なんとも言えないレトロフューチャーな世界が生まれていました。
施設内のフォントやタイル、飛び込み台やスライダーがいちいち絵になるだけでなく(表紙の滑り台かわゆ)、さりげなく存在するモデルと、かわいすぎる水着や小物のカラーリングも完璧で、僕はウェス・アンダーソンの映画を思い出しました。いや、ソフィア・コッポラの方が近いか。作り込みすぎとも言えなくはないけれど、ひとつの完成形。
プールって無条件にある種のノスタルジーがあると思っていて、子供時代の記憶と結びつく場所だと思うのです。夏の喧騒とか、塩素の臭いとか、プール上がりの気だるさとか、水の中の青さと静けさとか。そこに、東欧独特の少し乾いた空気感と、何かが失われてしまったような寂しさが入り混じっているのが、この写真集。
とにかく美しくて、ずっと観ていられるし、そっと飾っておくのも実に絵になる一冊。刊行は2018年。最近知ってネットでは全然見つからず(Amazonとメルカリではプレミア価格)、写真美術館の中のナディッフバイテンでようやく出会えたのでした。
ということで、よりみちライブラリ第54回でした。よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。
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