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感想_イット・エンズ・ウィズ・アス

さて。コリーン・フーヴァー『イット・エンズ・ウィズ・アス ふたりで終わらせる』(2023年刊)読了。全米1位を取ったロマンス小説です。

ちょっと前にananで「ロマンス小説がアメリカの若い世代に人気上昇中」という記事があり、そこに載ってたのがこの本でした。記事曰く、古くからあったジャンルが、設定に現代性が出て注目されていると。昔は身分違いの恋に始まり、今は女性も社会に出てればさまざまな障害やテーマが反映されていると。

てことで本作。田舎からボストンにやってきたリリーは父親を亡くしたばかり。しかしその父は母に暴力を振るっていた。そんなときに出会ったのは脳神経外科医のライル。2人は急速に惹かれ合い運命的に結ばれるが、たった15秒の出来事が2人を引き裂いて…。

ライトなタッチの一人称文体で、ラノベといって差し支えないテイスト。アメリカだとYA(ヤングアダルト)と呼ばれる部類だと思いますが、ちょっとエッチなシーンもあってそれはNA(ニューアダルト)と呼ばれたりもするっぽい? あくまで主眼は男女の関係です。テーマの真ん中には女性への暴力があり、このあたりが今どきたる由縁。

恋愛小説には一定のときめきがやっぱりあるなと思い、わかってても2人がくっついたり離れたりにちょっとドキドキ。訪れる危機は、運命のイタズラとしか言えないのではと思ったりもしたけど、それは男性視点であり、暴力を容認してしまう素地かもしれません。ライル、リリー、それぞれが抱えるトラウマをどう乗り越えるのかという興味に引っ張られます。最後の決断はちょっと意外な感じもしたけど、これでなくてはいけなかったのかも。負の連鎖との決別。

メロドラマちっくな展開やちょっと極端な設定感など、ある意味では『汝、星の如く』にも通じるなぁと思ったのでした。

格式高い文芸ではなく、かといってすごく胸を打たれたとか、そういうのはなかったのですが、親しみやすく、等身大の共感性があるのだと思います。そして映画版がこの夏全米公開されて空前の大ヒットを記録したそう(ブレイク・ライブリー主演)。日本でも11月に公開決定です。

そもそもの原作は2021年にTikTokでバズったそうで、著者の作品が軒並みランキング入りするようなブームになったそう。本作の続編も出ていたり、新刊も書店に並んでました。新世代ロマンス小説を読むのもいいもんですね。

よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。





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