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感想_あたしたちよくやってる


 1/2木曜日おはようございます。カバーを外すのが読書スタイルのオズマガジン井上です。


よりみちライブラリその2。2019年3月刊行の山内マリコさん『あたしたちよくやってる』を読了。さまざまな女性の自意識を巡る33編の小説とエッセイ集。ファッション、友達、結婚など、女性としての生き方をさまざまな角度で切り取って綴っています。一貫してるのは、社会に植え付けられた「女」ではなく、「自分」を生きるべしという応援メッセージだと感じました。タイトルが言い得て妙。

男女平等が謳われる現代、実質は全く追いついてません。僕自身この作品を通して無意識的に男性の目を通しての、女性とは男性とはかくあるべし、こういうものである、と思い込んでいるいくつもの事象に気づかされました。まずはこれに気づき、その枠を外すことから始めないと、どれだけ制度が変わり改革を叫ぼうとも何も変わらないと強く実感。

雑誌の中でも油断すると、なんとなく思い込んでるステレオタイプな表現を使ってしまいがちで、特に気を付けているものの、あまりにも無意識に当たり前と思っていることって本当に多いのですよね。炎上までいかないレベルの、差別とまではされなくとも十分に差別的な意識が、根を張ってます。

女性がこの作品から何を感じるか興味深くもあります。ビターさは伴いそうですが、多くは共感されそう。でもちょっとサブカル、スノッブに寄ってるかもしれません。それは多分山内さんのパーソナリティが大いに反映されてるから。山内さんは大の映画好きで、以前オズの映画企画にご寄稿いただいたこともあります。

というか、作中の『サキちゃんのプリン』自体が2014年1月号に書き下ろしていただいた掌編なのでした。その節はありがとうございました。

さらりと読めて、ほろ苦くも清々しい作品でした。

それでは、今日もいい1日を。

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