アーティゾン美術館の『ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここにきてやむに止まれぬサンサシオン』観てきました。これは見て良かった! コレクションと美術館がコラボするこの企画、アーティストの編集・キュレーション視点が見れてとても楽しいです。今回は山口さんの思想や技巧がたっぷり感じられて良かった。彼がコレクションの中きらフォーカスしたのは、セザンヌと雪舟で、それらへのオマージュ作品や解説と、既存作品が展開されてました。 最初、全てが斜めに傾いた部屋に入るのですが、いきなり三半規管が歪められてなんなら少し気分が悪くなる(そういうひと向けの注釈もある)。あれは、物事の見方を変えよならメッセージだったのかな。 感銘を受けたのがセザンヌ作品の解説で、その絵画の技法を事細かに紐解いていて、そこまで読み取れるのかと驚き。セザンヌがどんな風に絵を描き、そこにどんな想いを載せていたのかを、想像も含まれるとはいえ精緻に読み解いている。全ての絵描きがそうなのかわからないけど、「見える」ことも「見る」ことも「見せる」ことも、とことん突き詰めている。精神や哲学の領域まで。そのことにとにかく感じ入りました。これぞプロフェッショナル、エキスパート、スペシャリストやで。説得力が半端じゃない。観る、視る、診る、見る、同じ「みる」にも色々あるね。 入り口に本展はスケッチOKとあり、山口さんよりスケッチの勧めの一文もありました。すなわち、書き写すことでよく見るし、よく見ると見えてくるよと。ああ、最初の斜めの部屋もそうですが、視覚体験を問い直し、見つめ直すための舞台だっだんだなここは。表層の情報に泳がされる現代人へのアンチテーゼ。見ているつもりを疑え。 よりみちしながら、いきましょう。今日も、いい1日を。
「よりみち」をテーマに綴ります。お出かけのような物理的なもの、心持ちのような精神的なもの、たしなみのような文化的なもの、全部ひっくるめての「よりみち」を推奨していきます。よりみちしながら、いきましょう。(ブログタイトルは『暇と退屈の倫理学』より借用。基本方針は、2022年1月1日のポストをご覧ください)