夏休みで美術館もいつもより賑わってますねー。東京駅もすごい人です。 さて。国立新美術館で開催中の「蔡國強 宇宙遊ー<原初火球>から始まる」鑑賞。中国出身の蔡國強さんの個展です。昨日のアーティゾン美術館に続いてこちらも、とっても良かったです!! 会期8/21までとあと少しですがぜひもの。 展示室に入ってびっくり、全部ぶち抜きでどかんどかん作品が並んでいたのですが、その半分近くを占めている<<未知との遭遇>>がすごい! さながらテーマパークのごときインスタレーションで、ワイヤーみたいなフレームで作られた観覧車とかメリーゴーラウンドみたいなのが旋回しています。よく見ると宇宙モチーフで、エイリアンのようなものや月などの造形。LEDがいろんなパターンで光るフォトジェニックさ。素敵。 展示全体が時系列に沿って、蔡國強の歩みをたどります。代名詞的な火薬を作った絵画やプロジェクトがいかにして生まれ変遷していったかがわかって大変興味深かったです。火薬という中国的モチーフでルーツを強烈に意識しながらも、美術界の東西の分断を文字通り爆破してしまうそのインパクト! そしてそこに込められていたのは宇宙からの視点という超ロングスパンかつメタな態度でした。 今ってとかく近視眼的だから、そのスケール感にほとほと感じ入ってしまったのですね。合理性とか生産性とか、宇宙の瞬きの中ではあまりにも小さな話。あの星から届く光は200年前のものなのにあなたたちは何言っちゃってるの?みたいな感覚になりました。 あらためて火薬ドローイングってどう描いてるんだ?って思いましたが、本当に火薬で絵を描いて、火をつけて爆破していましたw その制作ドキュメント映像を見ていて、一瞬の閃光とその後に訪れる闇の対比が興味深く、それは命の儚さともつながっているように思います。星の明滅にも接続しているのかも。姿形は消え去るけど残る火薬の匂いと網膜の記憶。という美しさ。 そういえば北京オリンピックの開会式もこのひとの仕事だったなとか、8年前の横浜美術館での個展のこととかも思い出しつつ、要の東西を超えた宇宙と真理を感じさせる展示なのでした。30年前の作品と、近年の作品が違和感なく共存していたのもすごいし、でもその我々からしたら十分に長い時間も、宇宙スケールで見ちゃうと一瞬なんだよね。光すら届かぬほどの寸...
「よりみち」をテーマに綴ります。お出かけのような物理的なもの、心持ちのような精神的なもの、たしなみのような文化的なもの、全部ひっくるめての「よりみち」を推奨していきます。よりみちしながら、いきましょう。(ブログタイトルは『暇と退屈の倫理学』より借用。基本方針は、2022年1月1日のポストをご覧ください)